by kollwitz2000 カテゴリ
以前の記事
2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 01月 2018年 11月 2018年 06月 2018年 02月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 03月 2016年 09月 2016年 07月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 02月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 06月 2007年 01月 2006年 12月 検索
その他のジャンル
|
2010年 01月 21日
小沢一郎関連の政治資金規制法違反事件に関する言説を見ていて改めて驚かされるのは、検察の捜査を「国策捜査」「司法による政治介入」として、陰謀論的に非難する言説が一定の勢力を形成していることである。これは、昨年前半の西松事件の際にも見られた傾向であるが、今回はより本格化しているようだ。
だが、司法の活動により政党や政権が結果的に打撃を受けるということは、三権分立による権力の相互抑制ということなのであって、一般的には何ら問題ではない。今回の件について言えば、小沢やその周辺が「シロ」であることが明白であれば「国策捜査」といった批判もわからないでもないが、恐らく批判者たちも含めて誰もそうは思っていないのだから、上記のような検察批判は滑稽としか言いようがない。「検察リーク」論も、他の被疑者の場合には民主党がここまで問題にしたことはないのだから、説得力を欠いているし、小沢自身が違法性を認めている以上、それで免罪にされるはずもなく、論点のすり替えとしか言いようがない。だいたい記者クラブを残しておいて、今回に限って特定の新聞社と検察との癒着を批判するのも奇妙である。 民主党は、「現行憲法の原則は「国民主権」であり、三権分立の規定はどこにもない。」(菅直人『大臣 増補版』岩波新書、2009年12月、246 頁)といった主張をするような人物が幹部の政党なのだから、民主党が検察を非難するのは分かるが(単に、民主党議員たちが小沢を恐れているとか、小沢からカネを貰っているとか、そういった問題ではない)、今回の件で検察を非難する人々は、三権分立をどう考えているのだろうか。 この件については、共産党が今回は(恐らく選挙対策で)頑張っているので、参考までに「しんぶん赤旗」の記事を掲載しておこう。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-01-18/2010011801_04_1.html 念のために言うが、私は、今回の検察の捜査は純粋に「正義」のために行なわれている、検察が特定の政治的意図を持っているはずがない、などと言っているわけではない。今回の捜査は「アメリカ(CIA)の陰謀」かもしれないし、「自民党の陰謀」かもしれない。だが、検察が特定の政治的意図を持って捜査を行なっているなどということが立証不可能である以上、そのような理由を挙げて検察の捜査を抑制できるということになれば、それこそ三権分立の否定であり、立憲主義の崩壊である。巷では、今回の捜査をして、民主主義への挑戦などと主張する発言も散見されるが(他ならぬ民主党議員が主張している)、本末転倒としか言いようがない。陰謀論を公然と主張することによって、それが建前ではあれ、否定しようのない原則を覆すことができるという発想が蔓延しているという事態こそが、異常である。 ウェブ上では、「去年の西松事件は小沢側に問題があったが、今回の件は検察がやり過ぎ」といった言説も散見される。だが、当たり前すぎて改めて言うのも気がひけるが、この種の主張は一層意味不明である。去年の西松事件の際には民主党はまだ野党であったから、「政権交代を検察が潰そうとしている」といった主張が出ること自体は理解できるが、民主党が巨大与党と化した現在、そのような主張が意味をなさないことは明らかである。 今回の件の、リベラル・左派ジャーナリズムへの影響について考えてみよう。 佐藤優らの「フォーラム神保町」と似たような組織で、高野孟が主宰する《THE JOURNAL》という「ブログサイト」があるが(中心的なメンバーも、「フォーラム神保町」とかなりかぶっている)、このあたりのマスコミという利権集団に巣くう人々(これほど「巣くう」という表現がふさわしい連中もいまい)が、検察批判の中心的な役割を担っている。 恐らく今後、一連の「小沢VS検察」をめぐる言説を通じて、『世界』や『金曜日』のようなリベラル・左派ジャーナリズムやその周辺の書き手たちは、この種の「国策捜査」論的陰謀論者たちと融合していくと思う。既にその傾向はあったし、人脈的にもかなり重なっているが、この件を通じて一体化が完了するのではないか。《THE JOURNAL》は、不偏不党な公正なジャーナリズムではなく、政治家や特定団体のプロパガンダ機関であろうが、リベラル・左派ジャーナリズムもそれと融合してブラック・ジャーナリズム化する、ということである(リベラル・左派ジャーナリズムのブラック・ジャーナリズム化については、以前にも触れた)。 また、小沢の影響力が低下すれば、割と早い時期に、民主党は社民党と国民新党を切って、公明党と連立を組むと思う。そうなれば、護憲派ジャーナリズムや市民団体は、民主党と対決するどころか、民主党の個々の政治家から捨てられないために、ますます小沢にすり寄っていくだろう。共産党系の憲法学者も、今回の件で検察を批判していたことから考えると、共産党系の書き手の一部(大部分?)もこういった流れに実質的に合流していくように思う。9・11陰謀論が一角にあっても、さして違和感を感じさせない構成になるだろう。 日本の大衆は、マスコミや知識人ほど政治的判断力が低くないから、民主党の小沢擁護論は完全に浮き上がっている。こうして形成される陰謀論的ジャーナリズムも、大衆から遊離していくだろう。 「平和」と「人権」について、まともに社会に訴えたい人々は、こうした流れと手を切っておく必要がある。
by kollwitz2000
| 2010-01-21 00:00
| 日本社会
|
ファン申請 |
||