by kollwitz2000 カテゴリ
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2010年 03月 10日
1.
前回の記事でその発言をとりあげた、「若手」の朝鮮史研究者である川瀬貴也氏が、私に対して反論を行なっているようである。「ようである」としたのは、川瀬氏の反論が、twitter上でほぼ友人相手になされていたり、自らのブログ上で匿名の人物のコメントへの応答としてなされているもので、私や読者一般に向けてなされた形のものではないからである。いずれにせよ、ここでは川瀬氏が、以上の形式で実質的に「反論」を行なっているものと見なすことにする。 川瀬氏の反論は後述するように極めて不誠実なものであり、しかも論理の体をなしておらず、かつ、肝心の論点に関してまともに反論することを回避しているために、この「論争」自体は生産性のある方向に発展しそうにない。だが、川瀬氏は、一般のリベラル・左派の言論人と異なり、「正直」や「計算をしない」という「美徳」を持っておられるように見える。したがって、「良心的」知識人を自認すると思われる人物が、発言を批判された場合、どのように自分を正当化し、それに付随して論理も支離滅裂になっていくかの見本として、また、およそ言論人および社会人としての常識を欠いたこのような人物ですら、「良心的」知識人として振る舞えてしまう言説状況(もっとも、この手の人物は川瀬氏だけではなく、川瀬氏を含めた「若手」研究者には多いように見えるが)の問題性を考える上での材料として、また、「寛容」論の本質について検討した文章として、読むに値するものに成り得ているのではないかと思うので、一般読者にも、以下の私による反論文を是非ご一読いただきたく思う次第である。 2. まず、争点となっている、私の前回記事の、川瀬氏の発言関係の文章を引用しておく。 「付言しておけば、今回の朝鮮学校排除問題を、佐藤が言うような「寛容の精神」の問題に還元してはならない。北朝鮮と関係する朝鮮学校以外の外国人学校には「寛容」だが、朝鮮学校は「寛容」の対象外、とする人々は数多く存在するわけであるから、この種の主張はそうした人々に簡単に否定されるだろう。また、マジョリティの恣意的な「寛容」の程度によって在日朝鮮人、外国人の教育権が左右されるということならば、情勢次第で簡単に在日朝鮮人、外国人の教育権は否定されることになる。その点で、「<佐藤優現象>批判」で指摘した、「「国益」の論理の下、在日朝鮮人の「人権」は考慮すらされてない」という佐藤の主張の特徴は、ここでも基本的には貫徹しているのである。 朝鮮学校排除問題は、在日朝鮮人、外国人の教育権及び人種差別禁止という普遍的権利の問題である。「国益」上の問題、あるいは「寛容」の問題として朝鮮学校排除問題を位置づけることは、中井や橋下の敷く土俵に乗ることを意味するのであって、そのような主張が力を持たないよう、警戒されるべきである。 例えば、ポストコロニアル系の朝鮮史研究者である川瀬貴也の以下の発言などがその典型である。 「朝鮮学校だけ除外、こういうのを「ケツの穴が小さい」というんだよ。こっちから寛容さを示して道徳的な優位性を保つって判断くらいできないのかね、情けねえ。 」 http://twitter.com/t_kawase/status/9647787410 なぜ「寛容さ」を示せば「道徳的な優位性を保つ」ことになるのかは不明だが(植民地支配の過去清算問題はどうなるのだろうか)、こうした「国益」論的な枠組みに基づいた「寛容」の論理--川瀬のブログによれば川瀬が大ファンらしい、内田樹がまさにこれである--は、今のところそれほど目立っていないから放置しておいてよいとしても、リベラル・左派メディアがいかにも好みそうな論理であるため、反対論の主流にならないよう注意しておく必要がある。 今回の佐藤の記事は、佐藤の破廉恥さ、自分の発言への無責任さを改めて示すものである。また、同時に、「寛容」論に基づく朝鮮学校無償化賛成論が、かの佐藤ですら可能な、危険なものであることを示唆するものである。」 3. 次に、私の文章に関しての川瀬氏のtwitter上での発言(3月10日0時0分現在まで)を、時系列順に列挙し、番号を付しておく。 http://twitter.com/t_kawase ①「やっぱ、twitterでの発言は、文脈(今までの生き方も含む)と切り離されて一人歩きして解釈される危険性があるなあ、と実感。いや、数日前の発言を批判されたんですよ。俺からすれば誤読だけど。」 ②「@yamaguchiM いやあ、敢えて「国益」的な立場だったとしても、という意味なんですけどねえ。普遍的人権と思ってるに決まってるっつーの(笑)。リアルポリティックスとか言うなら、それくらいの「外交手腕」を見せろよ、というつもりだったんですけどね。 」 ③「@mythrim 佐藤氏と一緒に批判されるくらいの大物になったと喜ぶべきでしょうか(笑)?僕は今学校で「朝鮮学校を差別するな」っていう署名集めてるんですけどね・・・。 」 ④「@Marukusu_hakase 僕は逆説的な言葉遣いをしたつもりなんですけどね・・・。そもそも、朝鮮学校いじめは「象徴的暴力」であって、現実の北朝鮮には痛痒も与えないでしょ?そんな「ゲーム」を批判したつもりです。」 ⑤「@NaokiKashio 批判はいいんです。こうしてウェブ上に発言しているんだから、それなりの「覚悟」はありますけど、思いこみや誤読だと、消耗しちゃうなあ、という愚痴です。 」 ⑥「@mythrim そう、彼は結構いい事も言っていると思うんですが、ブログから判断するに、思いこみがどうも激しいみたいですね。僕はこういう運動に関しては「小異を捨てて大同につく」ことを心がけていますので、「朝鮮学校差別反対」のところでは連帯すると思います。彼が嫌がろうとも。 」 ⑦「@umeten まあ、事故といえばそうだけど、ブログにも来ていますよ、今。内田樹先生に書き方が似てるって言われたよ(笑)。 」 ⑧「不寛容な「味方」って厄介だな。原理原則、理想論は重要。でもそれに拘泥して向こう岸にいる「敵」よりも目前の「味方」を攻撃するってのは勘弁してもらいたいね。「倫理的にどれだけ自分が優位か」を味方内で競うゲームばかりに夢中になっている連中とは、デモは一緒にするけど酒は飲めないな(笑)。 」 ⑨「@Marukusu_hakase, @RAHIEM, まさにこういうのを批判したのが内田樹先生なので、僕の批判者が「この内田のエピゴーネンめ」と言ったのは実は正しいのです(笑)。でも「お前は俺が認めるほどピュアじゃない」って言われてもなー。方向性は一緒なのにね。 」 ⑩「@o_tsuka もうちょっと歩み寄れないものですかね。「利敵行為」とか、そういう扇情的な言葉は使いたくないんですけどね。繰り返しますが、社会運動についての僕のモットーは「小異を捨てて大同につく」です。 」 また、川瀬氏のブログのコメント欄における、「匿名」氏に対してなされたこの件に関する発言(「匿名」氏との具体的なやりとりはhttp://d.hatena.ne.jp/t-kawase/20100303/p1#cを参照)を列挙し、番号を付しておく。 ⑪「どなたか知りませんが、引用元を書いておいて欲しかったですね。自分で調べたからもう良いけど(語り口調ですぐ誰かは判ったけどさ)。 僕の発言は、「普遍的人権」を信じているからこその発言なんだけど(敢えて右も左もみんな大好きな「国益」から考えるとしても、という文脈なんだけどね)、批判者及びこれを引用してきた誰かさんは僕という人間を判っていらっしゃらないとしか言えないですね。要するに、僕が府知事や大臣だったら、内心はどうあれ(ここ重要)、寛容な態度を取って、「向こう」に好き放題言わせないくらいのずるさは発揮するのにな、ということです。本心からでなくてもそういう態度は結局朝鮮学校の生徒の利益になるだろ、ということですよ。」 ⑫「で、僕の上のコメントを見ても、そういうことをおっしゃるわけですね。じゃあ、対話じゃないや。それに、そもそもこれが橋下知事を思いっきり罵っているエントリってことは理解しています?ただ、あなたの僕への批判で「マジョリティの権益の上にあぐらをかいている(意訳)」というのは当たっていると思います。そのことを多少自覚するがゆえに、どう動こうか、とモヤモヤ考えているこちらの事情も少しは分かって欲しい、というのもマジョリティの傲慢さだ、といわれればそれまでですが。 僕は国連の方からも「いかがなものか」と言われている状況なのだから、この外圧を利用して実現してやれ、という戦略的な考えです。結局それが今被害を受けている人の利益にもなるし、ひいては「日本は信頼できる国」という評判にもなる、という将来の「国益」に繋がっているという考えですね。「外国人排除」が「国益」になると考えている人とは、同じ「国益」という言葉を使っていても、内容が全然違います。 書き方に文句言われてもなあ、って感じですね。僕からすれば、「匿名」とわざわざ名乗るのが気に入らない(笑)。よって、同定できないHNを続けるなら、これ以上のお返事はしません。」 ⑬「削除はしませんが、あなたが僕にとっては「厄介な味方」であることは確認できました。僕の側からあなたを「排除」することはありません(あなたの側からされるかも知れませんが、こっちの知ったこっちゃありません)。広い意味での「同志」と思っていますから(あなたには迷惑かも知れませんが、それこそ言論及び思想の自由でもって、勝手にあなたを「同志」と思うことにします)。お元気で。」 上記①~⑬は、①・⑧を除き、具体的な個人とのやりとりの中でなされているものであるから、細部にはその相手の発言を参照しなければ意味がとりにくい箇所もあるが(関心のある方は、リンク先を参照されたい)、①~⑬を通読すれば、川瀬氏がどのようなことを言いたいかは浮かび上がってこよう。 なお、川瀬氏の⑦・⑬の発言からすると、川瀬氏はブログコメント欄への「匿名」氏が、私であると勘違いしている可能性があるのだが、これは私ではない。この「匿名」氏の最初の投稿日時である3月5日13時49分時は、私は勤務時間中であって投稿できるはずもない。 だいたい私は、反論するならば公開の形でもっと徹底的にやる。
by kollwitz2000
| 2010-03-10 00:00
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