チョムスキーは、イスラエルのリクードと労働党の違いに関して、以下のように説明している。
「このやり方の相違は、この二つの政治集団を支持する階層の違いにその原因をもとめることができるようだ。労働党は高学歴の専門職や西洋化されたエリートの党であり、西側のスタンダードに合わせる能力が高く、スポンサーたちには彼らがしていることを「見ない」で済むような言いわけを与えてやらねばならないということを理解している。基本的に同じ結果を得るためにリクードが取る恥知らずで粗暴なやり方は、西側の人道主義者たちを当惑させ、ときには対立やいらだちを引き起こす。」(ノーム・チョムスキー『中東 虚構の和平』中野真紀子訳、2004年8月刊、講談社、86頁。原著は2003年刊)
この指摘は日本の右派と左派の違いに関して考える上で有益である。支持層の「階層の違い」がどの程度あるかはさておき、日本の左派は、東アジア共同体やら韓米日三国同盟やらその他の軍事的枠組み作りに関して、欧米や中韓などの支配層や上層に対して、現実の日本国家(の過去)を「見ない」で済むような言いわけを与えてやらねばならないということを理解している。右派はそのことを理解していない。客観的に見れば、それだけの違いである。