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2007年 06月 17日
かねてから、佐藤優現象に既視感を覚えていたのだが、最近ようやく思い出した。
1990年代初頭に巻き起こった「政治改革」論議である。 現在の日本が、なぜ小選挙区制のような馬鹿げた制度の下にあるかといえば、90年代初頭の「政治改革」「政界再編」の流れの中で、「何よりも政権交代を!」というリベラル・左派の掛け声のもと、当時の社会党が小選挙区制を呑んだ(呑まざるをえなかった)ことにある(詳しくは渡辺治「政治改革と憲法改正」(青木書店)参照。あと、大まかにはここの説明で間違っていない)。 今回の佐藤優現象は、これの反復ではないか、と思う。 そもそも、リベラル・左派系の担い手が同じである。新聞社としては朝日新聞、出版社としては岩波書店、学者では山口二郎だ。90年代前半の『金曜日』の誌面がどうだったかは記憶にないが、確か本多勝一は「とにかく、政権交代を」といった論旨を展開していたように記憶する。『金曜日』で山口二郎は延々と連載しているのだから、まとめて一括りにしてもいいだろう。このあたりの連中が、「政治改革」と同じ構図で、世論を誤導しているのではないか。 左派の「政治改革」論者は、「自民党と社民勢力党派の二大政党制による政権交代」を目指したが、結局は保守二大政党制に帰着した。彼らの「社会党は、「反安保・反原発・非武装中立」を捨てて現実主義政党になるべきだ」という主張を真に受け、社会党は消滅した。こういう結果になることは、多くの人間から指摘されていたのであるが(共産党系だけでなく、高畠通敏らリベラル系も指摘しており、高畠は中でも徹底的に「政治改革」を批判していた)、「政治改革」推進論者は、そういう批判にほとんど説得的な回答をしないまま、「政治改革」に飛び込んだのだ。「政治改革」とは、簡単に言うと、そういうプロセスである。 佐藤優現象も構図は同じだ。このシリーズの(2)(3)でも述べたことだが、 「佐藤優のような保守派(私から見れば右翼)と大同団結して反ファシズム、反改憲陣営の構築」を目指しながら、結果としては、対北朝鮮戦争肯定世論の醸成と、改憲に帰結するだろう。 また、佐藤優現象が、マスコミ主導であることも、「政治改革」論議との共通点だと思われる。「政治改革」がマスコミ上で大々的に呼号された1993年の総選挙で、投票率が過去最低を記録(当時)したことは既に指摘した。佐藤優現象の場合、編集者がかなり積極的に動いていることも注目すべき点だと思う。佐藤と関わりの深い「フォーラム神保町」という団体があるが、ここの会員にはマスコミ関係者しかなれないらしい。また、ブログやネット上の佐藤ファンを見ていると、改憲派(2ちゃんねるのような単発書き込みの場では、改憲派と思われる層)が多数派であって、護憲派は少ない。左派陣営まで組み込んだ佐藤優現象が、一般読者のレベルでも成立しているとはまだ言えないように思われる。 ついでに指摘しておくと、歴史的な類比を行なうならば、これは「反ファシズム統一戦線」ではなく、戦時中の「新体制運動」である。 上記の「フォーラム神保町」だが、これは簡単に言うと、佐藤がマスコミ関係者を洗脳する場であろう。ここの「世話人」の項目を見ると、『金曜日』関係者や、部落解放同盟の下部組織である解放出版社の編集者が名を連ねている。市民運動や左翼では駄目だと思っているから、右に媚をふっているのだ。文字通りの「転向」であり、これは集団転向現象である。 この連中は、「反ファシズム・護憲」の目的のために佐藤と組んでいるつもりかもしれないが、実際には右派に基軸を置く佐藤(右翼として当たり前であるが)にとって、自分の人気度と信頼性を高めるものとして利用されているに過ぎない。リベラル・左派が、佐藤があちこちで発言しているような国家主義的主張への違和感を一方的に失っていくだけだ。 「新体制運動」に、左翼の一部は、この運動によって軍部を抑え、日中戦争の早期終結を図る意図で参加したが、結局はファシズム体制の一層の進展にしか帰結しなかった。それと同じである。 部落解放同盟が関わっているのは、戦前の全国水平社の侵略戦争翼賛の歴史を、まともに総括できていないことにもかかわっていよう。もちろん、このシリーズの(2)でも指摘したように、マスコミ関係者やライターの改憲後の生き残り戦略もからんでいる。「バスに乗り遅れるな」である。 「フォーラム神保町」には、香山リカのような、ポピュリズム護憲派(?)も世話人の一人である。問題は根深い。この「新体制運動」を打破することが、本気で改憲を止めたい人間の当面の課題であると思われる。
by kollwitz2000
| 2007-06-17 02:15
| 佐藤優・<佐藤優現象>
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