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2009年 08月 20日
衆議院選投票日も間近であるが、姜尚中がまた注目すべき発言を行なっている。
連載「姜尚中はどこへ向かっているのか――在日朝鮮人の集団転向現象」でも指摘しているが、現在のリベラル・左派の転向または右傾化は、それらの人物の欲望に合致した発言を姜が積極的に行い、それにリベラル・左派が追随する、という形でおおむね進んでいる。したがって、次にリベラル・左派がどういうことを言い出すかは、姜の発言を見ていればよい。 姜は、毎日新聞8月5日付朝刊で、衆議院選に関する連載物の記事の中で、以下のように述べている(抜粋。強調は引用者、以下同じ)。 「政治の最も大切な役割が「富の再分配」にある以上、民間活力の低下で縮小していく経済のパイをどう配分するかが政治の課題になる。政治の不作為や失策は、そのまま経済に跳ね返って有権者の生活を直撃する。 政治家は、前例踏襲が常の「官僚政治」を超えてリーダーシップを発揮する時期に来ている。少なくともこの先10年の在り方を示さなくてはいけない。社会保障を例に取れば、国民に負担をお願いする場合は、その結果どうなるかの説明がいる。「高負担」でも「高福祉」なら安心と考える人は多い。ならば「高福祉・高負担で持続可能な競争力」のようなビジョンを描けば、国民の納得を得られるかもしれない。(中略) 今の状況は、混乱が収れんしていくための「生みの苦しみ」でもある。自民も民主も党内に異なる考え方が同居し、まとめにくい状況だ。だが総選挙の結果次第で、大連立を含め新たな政権形態が予想される。 仮に民主党が単独過半数近くの議席を得れば、民主党が割れる理由はなく、政界再編は遠のく。逆に小差だと、07年の小沢一郎代表(当時)と福田康夫首相(同)の大連立問題が再浮上する可能性は十分ある。あの大連立に私は反対だった。有権者や政治家を置き去りにして密室で決めようとしたからだ。民主党が選挙後に大連立を目指すなら、なぜ必要なのかを明らかにして、ガラス張りでやるべきだ。さもないと有権者は深い政治不信に陥るだろう。」 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090805ddm002010065000c.html 要約すると、「高福祉・高負担」での「富の再分配」を行なってくれるならば大連立でも構わない、ということである。本当は、大連立によって「高福祉・高負担」での「富の再分配」を行ないうる政治体制を作れ、という主張として、姜は打ち出したいのだと思う。 姜は、「民主党が単独過半数近くの議席を得れば、民主党が割れる理由はなく、政界再編は遠のく」と書いているが、仮にそうした状況になったとしても、汚職案件等で民主党が早期に弱体化する可能性も十分ある。どのみち大連立の声が高まるだろう。 恐らく、「ガラス張り」で、「格差社会の是正」のために自民党の保守政治家たちも一肌脱ぐ、といった感動物語が動員されて、大連立は演出されると思われる。現に、世論調査の数字でも、大連立を支持する声は多い。 http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090810/elc0908102002015-n1.htm 言うまでもないと思うが、大連立の目的は、「格差社会の是正」ではなく、消費税増税や、自衛隊の海外派兵恒久法の制定である。このことは、上杉隆や花岡信昭のような、大連立の成立に少なくともそれほど否定的でないと思われる連中も明言している。特に上杉などは、それこそ「ガラス張り」とすら言えるような驚くべきあけすけさで、以下のように語っている。 「実は大連立政権成立の真の狙いは、緊急経済対策的な救国内閣という位置付けではありません。恒久的な海外自衛隊派遣など安全保障上の法律改正、さらにその先の憲法改正も視野に入れての大連立構想なのです。」(上杉隆『民主党政権は日本をどう変えるのか』飛鳥新社、2009年6月、21頁。強調は引用者) また、北朝鮮の核に対抗するための、非核三原則の二原則への見直し(核持込みの解禁)も、大連立政権の下で行なわれるだろう(注)。 私は、姜が勘違いしている、と言っているのではない。姜は、この辺のことを十二分に分かっているはずである。私の連載でも指摘しているが、転向後の姜は、政治的な思惑からの発言ばかりだ。現在の姜にとっては、大連立によって実現されるであろう政策は、遅かれ早かれ実現されるのであって、改憲問題は(近いうちの改憲または安全保障基本法の制定で)決着がついているし、歴史認識問題は、日中韓の政治家レベルでの折衝で決着可能な問題である。以前の姜自身が問うてきた問題は、既に(姜の中では)終わっているのである。姜にとっての問題は、東(北)アジア共同体(的制度)の実現だけである。 姜がまだ主観的には「良心的」であるとすれば、既にそうなるに決まっている路線の中で、他ならぬ姜が影響力を確保することによって、他の悪人たちが影響力を確保するよりもより一般大衆は福利を享受することは間違いない、という意味での「良心」である。多分、姜は本気でそう考えていると思う。 現在の姜の役回りは、佐藤優のリベラル・左派版のようなものだ。佐藤の保守派・右派陣営での主張の多くは、論理的には、大連立が必要だという結論に行き着くものである(そもそも、<佐藤優現象>自体が大連立的である)。両者は、訴える対象を異にしながらも、同じような役回りを果たしている(転向後の姜の主張と佐藤のそれが近いことは、このブログでも何度か指摘している)。 姜が大連立容認論を唱えるということは、今は「政権交代」を呼号しているようなリベラル・左派の言論人たちも、遅かれ早かれ、大連立容認論(または黙認)に行くということである。その場合、多分、「自民党や民主党の新自由主義勢力は、大連立を実現して、停滞している構造改革を再び推進しようとしている」といった形で、「わるい大連立」への警戒が叫ばれるのではないか。そして、それに対比する形で、「格差社会の是正」を唱える「よい大連立」が肯定(または黙認)される、という次第である。民主党や、その別働隊たる社民党は、遅かれ早かれこの路線に入るだろう。 大連立に「よい」も「わるい」もない(「わるい」しかない)。姜の大連立容認論の問題は、姜が恐らく信じてすらいない、「よい大連立」という表象が作られることである。「よい大連立」を(暗黙にではあれ)支持する人々は、騙されるか、騙されるふりをしながら姜について行くだろう。 (注)大連立や、それとの朝鮮半島情勢の関連については、以前、仮説的に記したので、ご参照いただきたい。 「日本の「二大政党制」についての覚え書(上)」 「日本の「二大政党制」についての覚え書(下)」
by kollwitz2000
| 2009-08-20 00:00
| 日本社会
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