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2009年 11月 01日
1.
『金曜日』の最新号を見ると(と書き出さなければならないのが嫌なのだが)、佐高信による鈴木宗男への提灯インタビュー記事があったり、本多勝一の「何度でも言う、千島全島はロシアの侵略だ」というタイトルの記事があったりと、また一歩混迷が進んだような内容だったが、それらだけならばあえてこのブログで取り上げるまでもなく、「また『金曜日』が自滅している」と感想を持つだけで終わっていただろう。 ただ、同号には、本橋哲也による岡真理氏へのインタビュー記事が掲載されている。岡氏と『金曜日』については、思うところがあるので、今回は、この件を中心に取り上げる。 なお、岡氏へのインタビューは、『金曜日』の全66頁(表2・表3を含めれば68頁)中、6ページにわたっており、岡氏の大きな写真も4枚も掲載されている。破格の待遇と言っていいだろう。少なくとも私は、『金曜日』でこんなに長いインタビュー記事を見たことがない。イスラエル批判とパレスチナ支援で知られる岡氏についてのこの破格の扱いを、前回取り上げた「佐藤優の歴史人物対談」における「和田洋一」の登場に続く、「<佐藤優現象>に対抗する共同声明」への『金曜日』編集部の対応策と考えるのは、私の考えすぎだろうか。 2. ところで、まず確認しておきたいのは、今号の鈴木宗男への提灯記事である。『金曜日』のこの記事の紹介文を引いておこう(強調は引用者)。 「佐高 信 対談 日本を何とかしよう3 鈴木宗男 外務官僚のニセ情報によって世論の猛反発をかった鈴木宗男氏は、国会議員の職を失った時期さえある。衆議院外務委員長に就任し、なにを外交の最優先事項として取り組み、外務官僚とどう向き合うのか。」 単に鈴木の言い分を載せるだけではなく、ここまであからさまに鈴木を持ち上げる雑誌を私は知らない。「外務省時代の佐藤優に関する民主党当選議員の証言」で、「護憲派ジャーナリズムは鈴木に関しても佐藤と同様の擁護論を展開する、と思われる」と書いたが、そのまんまだ。そして、『金曜日』が鈴木を持ち上げるのはこれが初めてではない。 だが、鈴木は、2009年1月26日質問書提出の国会質問で、「今般の武力紛争において、パレスチナ側に一千万ドルの緊急人道支援を行うことは、国際社会に対して、我が国はテロ支援をし、テロに加担する国であるというアピールをすることに等しく、我が国の国益を損なうことに繋がるのではないか。」と発言している。鈴木のこうした活動は、すでに、パレスチナへの支援者の間でも問題とされているようである。私のよく知らない人々であるが、以下を参照のこと。 http://list.jca.apc.org/public/aml/2009-February/024069.html http://wind.ap.teacup.com/applet/palestine/msgcate3/archive このうち、「パレスチナ民衆連帯!イスラエルボイコット行動」は、鈴木の行動を、以下のように要約している。 「イスラエルがガザ地区に対して攻撃を加える最中、新党大地の鈴木宗男衆議院議員が、「ハマスがテロリストである事を政府に対して確認する質問主意書」を繰り返し提出している事が判明しました。 内容的には、「ハマスがテロリストである」とすることで、イスラエルによる虐殺を正当化するものであるのみならず、それをファタハのパレスチナ自治政府、パレスチナ民衆全体をも「テロリスト」だとして描き出そうとする、恐るべきものでした。」 鈴木と佐藤優との結びつきは周知のことであろう。『金曜日』や『世界』は、こうした人々を積極的に擁護しているのである。 だとすれば、今回の岡氏の記事は一体何なのか、ということになろう。これでは、岡氏の記事は、『金曜日』が鈴木や佐藤を擁護することに対するアリバイ役にしかならないのではないか。人々は、『金曜日』は岡氏に謝罪するべきだ、岡氏は『金曜日』がそんなことをやっているなんて知らないのだから、と言うかもしれない。 だが、事態の実際は、そうではないのである。 3. 岡氏は、『金曜日』の2009年1月23日号で、イスラエルのガザ侵攻に関する、「いま見逃してはならないこと」なる記事を書いている。 私はこの記事を見て、大変驚いた。そもそも岡氏は私の「<佐藤優現象>批判」掲載時の『インパクション』編集委員である。その岡氏が、イスラエルの侵略行為を積極的に擁護している、佐藤優と結託す『金曜日』に執筆しているというのは、やはり奇妙だろう。 私は、岡氏の知人から岡氏のメールアドレスを聞き、原稿依頼のメールを2月12日に送った。私の運営するブログ「資料庫」に、短いものでいいので、「イスラエルを擁護する佐藤優への批判か、そうした主張を行う佐藤を重用する左派メディア(『金曜日』など)への批判の文章」をもらえないか、という趣旨の内容である。以下、私の送ったメールから抜粋する。 「佐藤優のこれまでのイスラエル擁護の発言については、「<佐藤優現象>批判」でも触れましたが、以前書いたブログ記事の「佐藤優のイスラエル擁護に嫌悪感を抱かないリベラル・左派の気持ち悪さ」http://watashinim.exblog.jp/9193135/で主なものをまとめましたので、ご参照ください。 そこでも書きましたが、佐藤は、天木直人氏も指摘しているように、モサドとの関係やイスラエルの人脈を誇示し、イスラエル擁護論を展開しながら、日本政府が対パレスチナ政策をイスラエル全面擁護の方向に転換するよう積極的に主張しています。彼の2002年の逮捕に関しても、恐らく、鈴木宗男と佐藤のイスラエルとの関係が背後にあったことは、佐藤自身が示唆しています(上の私のブログ記事参照)。 今回のイスラエルの侵略についても、佐藤は、各メディアで、日本のマスコミ関係者はパレスチナへの思い入れが強く、この件に関しては信頼できない、対テロ戦争の観点から、日本はイスラエルを全面的に支持すべきである、という主張を繰り返しています。●さんが挙げられたメディア(引用者注・私の知人が岡氏あてのメールで挙げたもの)だけではなく、最新号の「クーリエ・ジャポン」(講談社)の自身の連載でもそのように主張していました。いずれも、数万(十数万)部の売上げを誇る、左派メディアとは比べ物にならないほど影響力のある媒体です。 彼は、先月からテレビにも進出しているので、そうした場でもイスラエル擁護の発言をこれから行なっていくでしょうし、新聞や雑誌、ベストセラーたる単行本でもこうした主張を行なっていくでしょう(私が確認できていないだけで、すでに行なっていると思います)。 仮に経済規模が世界第二位の日本が、イスラエルの全面支持に向かうとすれば、大変忌忌しき事態になることは、火を見るより明らかです。天木氏も指摘しているように、これほど日本でイスラエルを全面的に擁護している人間は右派の間でもいないでしょう。かつ、彼には大きな影響力があります。 そこで、天木氏は、●さんが送られたメールにもあるように、佐藤を批判しており、私も、ブログ上で佐藤批判、イスラエルを擁護する佐藤を左派メディアが重用することを批判してきました。 また、ウェブ上でも、パレスチナ支援のブログ等で、佐藤の主張への批判も若干ながら出てきています。 私は、この<佐藤優現象>に対して、私の論文が出てからも、「「<佐藤優現象>批判」スルー現象」と言われたり、前田朗さんが「奇妙な沈黙」と評するように、左派から表立って<佐藤優現象>に批判的な声が出ないことを、大変奇妙に思い、かつ腹立だしく思ってきました。http://watashinim.exblog.jp/8863402/ http://watashinim.exblog.jp/9096346/ こうして、<佐藤優現象>を批判することがいまだにほぼタブーであったところに、ここにきてようやく、天木さんのような方の批判や、ウェブ上での批判(「日刊ベリタ」等)が出てきたというのが現状です。 そこで、私としては、ここで、岡さんから、お願いしたような趣旨の文章をいただければ、<佐藤優現象>と、その現象を通して拡大するイスラエル擁護論の蔓延に大きな打撃を与えることができると思います。(引用者注・「岡さんがが大変多忙であろうことは」という一節が脱落)岡さんの各種のご活動を見るだけでも、十二分に分かります。したがって、このようなお願いをするのは大変心苦しいのですが、事柄の重要性に鑑み、そこで、岡さんにお願いする次第です。 岡さんにお願いするのは、こういうことを言うのはこれもまた心苦しいのですが、岡さんが少し前に、今回のイスラエル侵略に関する文章を『金曜日』に執筆されていたからでもあります。 私は、岡さんの文章の掲載を知り、大変当惑しました。天木さんが佐藤のイスラエル擁護論を批判し、私が佐藤と結託する「金曜日」の問題を批判していたちょうどその時に、岡さんの文章が載ったので。 「金曜日」編集部は今はもちろん、イスラエル批判の立場ですが、彼ら・彼女らがもし本気でイスラエルの行為に怒りを感じていれば、言うまでもありませんが、佐藤と手を組んだりはしないでしょう。 「金曜日」編集部は、私(ら)の批判に対し、直接は答えないながら、アリバイ的な行為をこのところ行ってきています。例えば、私が、「金曜日」が集会のポスターで日の丸を使用したことを取り上げ、ウェブ上でちょっとした話題になった際も、北村肇編集長は、編集後記で釈明しています。 http://watashinim.exblog.jp/8744661/ 率直に言って、岡さんの文章も、「金曜日」としてみれば、イスラエルを擁護する佐藤を使うことへのアリバイ作りとして活用された面が否定できないと思います。岡さんは、「インパクション」編集委員でもあるわけですし。 もし、「金曜日」に執筆されるならば(「金曜日」に何らかの積極的な可能性を見いだされているならば)、少なくとも、「資料庫」に文章を下さった、梶村太一郎氏や中西新太郎氏のように、<佐藤優現象>が問題であることを公的に表明していただきたい、と強く思います。 なお、「金曜日」の佐藤との結託については、「金曜日」の主催するイベントで最近ではほぼ必ず佐藤を登場させる、佐藤に連載を持たせ、佐藤による長文記事も頻繁に掲載する、佐藤の単行本を「金曜日」が出版している、佐藤が実質的に主催する「フォーラム神保町」の「世話人」を、「金曜日」の複数の関係者がつとめていることなど、枚挙に暇がありません。http://www.forum-j.com/agreement.html 「情況」や「世界」や「創」もそうですが、今、左派メディアで最も佐藤と深い関係にあり、影響力も大きいのが、「金曜日」であるといえます。なお、なぜ、彼ら・彼女らが佐藤にはまっているかは、下で考察しました。 「佐藤優の議員団買春接待報道と<佐藤優現象>のからくり」 http://gskim.blog102.fc2.com/blog-entry-8.html とにかく、本当に、短い文章で結構です。岡さんの名前が出て、佐藤または<佐藤優現象>を憂慮されているということが示されれば、それだけでも大変効果があります。もしいただけるならば、ことの性質上、早ければ早いほどよいです。 岡さんは、一人でもできるパレスチナ支援のやり方を提案されていますが、私としては、日本の世論がイスラエル擁護の方向へ向かうこと(いかに「金曜日」がイスラエル批判をしていようとも、<佐藤優現象>が進行するということは、そうしたことを意味します)を食い止める上で、僭越ながら、非常に大きな意義があると考えます。 ご多忙の中、本当に、本当に恐縮ですが、なにとぞご検討のほど、宜しくお願いいたします。」 なお、岡氏の提言する「一人でもできるパレスチナ支援のやり方」は、下のリンク先を参照のこと。 http://asyura2.com/09/senkyo57/msg/587.html 4. そして、2月14日に、岡氏から返信をいただいた。そこには、時間がないので結論だけ述べるが、佐藤の書いたものは読んだことがない、「わたくしがいま、しなければならない仕事をこなすだけでも、おかまりのコピーロボットが5体くらい必要」状態で、読む時間もない、金の要望に「いま、すぐに」応えることができないのは申し訳ないがご理解いただきたい、とのみ記されていた。 私は、岡氏のメールに対し、2月17日に「ご多忙の折に、お返事、ありがとうございます。」と題した返事を送った。以下、全文を掲載する。 「岡真理様 金光翔です。 ご多忙の折に、お返事、ありがとうございます。 > (引用者注:佐藤の書いたものは読んだことがない、読む時間もない、という岡氏のメールの内容) 前のメールで書いたように、佐藤優のこれまでのイスラエル擁護の発言については、「<佐藤優現象>批判」でも触れましたが、以前書いたブログ記事の「佐藤優のイスラエル擁護に嫌悪感を抱かないリベラル・左派の気持ち悪さ」http://watashinim.exblog.jp/9193135/ で主なものをまとめています。これを読まれれば十分だと思うのですが。 また、彼がメディア上で行っているイスラエル擁護の発言については、たとえば、「クーリエジャポン」(講談社)の最新号に出ています。 別に佐藤の著作を読まずとも、こうした文章を書いている佐藤を、『金曜日』他の左派メディアが擁護し、<佐藤優現象>を推進していることは、明らかだと思うのですが。 私は、論文等でも書いているように、佐藤自身よりも、佐藤優を持ち上げている左派メディアを批判しています。佐藤ではなく、佐藤を持ち上げる左派メディア(引用者注・「を批判」という一節が脱落)されるならば、上の私の記事での佐藤の諸発言を読まれるだけでも十分だと思うのですが。 > (引用者注・金の要望に「いま、すぐに」応えることができないのは申し訳ないが、ご理解いただきたい、という岡氏のメールの結びの一文) 岡さんは、イスラエルの擁護をする佐藤を重用することを、「金曜日」が私たちに批判されている中で、ご自身が「金曜日」に登場することが、「金曜日」にとってのアリバイになっていると思われませんか。私は、私や天木氏が佐藤や佐藤を「金曜日」が重用していることを批判している最中に、「金曜日」誌面で岡さんのお名前を拝見して、驚き、かつ途方にくれました。 ましてや、岡さんは「インパクション」編集委員でいらっしゃるわけですから、アリバイとして一層有効に機能しているでしょう。 前にも書きましたが、アリバイにさせないためには、梶村太一郎さんや中西新太郎さんのように、<佐藤優現象>が問題であることを公的に表明されることでしょう。お2人とも、「金曜日」の常連執筆者ですが、私が管理している下のサイトで、そうした立場を表明されています。前田朗氏もさまざまなところでそのようにされています。 http://gskim.blog102.fc2.com/ 残念ながら、この点に関しての、岡さんのお考えは伺えませんでしたので、改めてお伺いさせていただきます。 もちろん、岡さんが大変ご多忙でいらっしゃることは、重々承知しておりますので、もしメッセージをいただけるならば、どれくらいのご日程でいただけそうかをお伺いできれば幸いです。前にも書きましたように、短いもので十分効果がありますので。 それでは、宜しくお願いいたします。」 だが、このメールには、残念ながら返信をもらえなかった。結局、私が岡氏からもらったメールは、上で引用した2月14日付のもの一通だけだ。 5. それ以降、講演会などで岡氏の名前を見ても、私は、シラケる思いを禁じえなかった。 岡氏についてほとんど関心を失っていたし、このままであれば、上記のやりとりについて書く気にも、あえて批判する気にもならなかっただろう。そこに現れたのが、今号のインタビュー記事だったのである。 岡氏は、『金曜日』の佐藤優との結託ぶり、そのことへの批判を十分に知っており、『金曜日』に岡氏が登場することが「アリバイ」になるのではないか、という疑問も十分に承知した上で、今回、『金曜日』に登場しているのである(万一、私の送った二通目が届いていないか、岡氏が見落としていたかしても、一通目で趣旨は伝わっているはずである)。だとすれば、私がメールで送った疑問にもどこかで公的に答えて欲しいものだが、こういう人だ、と認識するほかないのだろう。 岡氏の振る舞いが、生活に困っているとか、社会的立場が不安定であるとかならば、私は肯定はしないし軽蔑はするけれども、まあ仕方がないな、と思うことだろう。だが、京都大学教授の岡氏が、これに該当しないことは言うまでもない。この人は一体、何がやりたいのだろうか。 岡氏は、日本の国政や世論醸成において、最も積極的にイスラエルの侵略行為・抑圧行為を擁護している鈴木や佐藤を支援する雑誌のアリバイ役を、客観的に見れば務めており、そのことを指摘されても黙殺を決め込んでいるのである。私は、岡氏のその他の「パレスチナ支援」の諸活動についてとやかく言うつもりはないが、岡氏がこうした振る舞いを行なっていることは、知られておくべきだと思う。 岡氏は、自分のやっていることは絶対的な善で、自分は絶対的に「良心的」であるから、自分が登場するメディアも「良心的」なのだ、という認識を持っているのではないか(岡氏は岩波書店から単行本を刊行しているから、岩波書店も自動的に「良心的」な出版社となるだろう)。こういうタイプの人は、岡氏に限らず、「戦後補償」関係などの市民運動家やインテリにも多いように思う。その裏には、まともな考えの伝達は、「良心的」で高邁な考えを持つ知識人→メディア→大衆、という形でのみなされるという恐ろしく古臭い図式(昔の「進歩的知識人」のような)があるように思われる。そこには、自分の言動や活動が社会的にどう機能するか、という視点が欠落している。 これは、佐藤優を重用するリベラル・左派メディアの編集者たちのメンタリティとも合致していると思う。私は、「首都圏労働組合 特設ブログ」に書いた「差別発言への注意は「非常識」――岡本厚『世界』編集長の私への怒り 」で、佐藤を重用する『世界』には、「自分たちのような「進歩的」で「良心的」な、「日本唯一のクオリティマガジン」の担い手が、佐藤と組んでいるからといって、社会に悪影響を与えるような雑誌であるはずがない。こんなに「良心的」な誌面を作っている(作ってきた)のだから、自分たちにそのような悪意があるはずがない」という認識があるのではないかと書いたが、そう考えると、佐藤優を重用するリベラル・左派メディアは、自分たちの雑誌が「良心的」でないはずがないと考える編集者が、自分たちの発言を掲載する雑誌が「良心的」でないはずがないと考える書き手を取り込むことによって成立している、と規定できよう。したがって、この人々には、私が一貫して問題にしているような、リベラル・左派が「佐藤優を使うことの社会的悪影響という観点」など、はじめから問題になりようがないのだと思われる。 もう少し言うと、<佐藤優現象>というリベラル・左派メディアの右傾化は、右傾化のアリバイ役として、自分たちの発言を掲載する雑誌が「良心的」でないはずがないと考える書き手、例えばポストコロニアル系の知識人――岡氏やら本橋やらその他の面々を積極的な構成要素として必要としているのだと思う。 また、編集者たちは、こうした「良心的」な書き手を使うことで、自分たちや自分たちの雑誌が「良心的」だと再確認できるだろう。岡氏らは、編集者に対して、「癒し」の機能も果たしていると思われる。 岡氏や、戦後補償その他に携わる「良心的」な人々は、愚かな右派や保守派からの批判はさておき、「左」から批判されることはほとんどなかっただろう。もちろん、私も彼ら・彼女らの活動の意義を否定しているわけではない。だが、<佐藤優現象>という形で、従来のリベラル・左派が「国益」論的なものに変質した現在においては、いいことを言っているだけでは駄目なのである。「日本は右傾化しているのか、しているとすれば誰が進めているのか」で論じたように、遅くとも2007年以降の日本の情勢においては、「戦後日本国家」および「戦後社会」を擁護するという「国益」論的立場に、批判勢力としての従来の「左」が回収されていっているのであって、そこでは、「右」に対抗するという政治的立場や、「良心的」な立場は、このプロセスに容易に組み込まれ得るのである。だから、言説内容よりも、むしろ、発話者の社会的な位置こそが重要なのである。「良心的」な人々は、主観的にはどれだけ批判的であろうとも、むしろ批判的であれば却って右傾化への「アリバイ役」として、容易に民主党的なものに組み込まれるのであり、実際に組み込まれている。 そして、(無意識的に)選択された各人の社会的な位置は、何らかの形で言説内容にも影響を及ぼすものである。戦後補償運動の主張でも、微妙に変質しているものが多いし、今回の岡氏のインタビューの記事でも、それを感じる箇所がいくつかあった。こうした点はいずれより大きくなっていくと思う。 それにしても、私へのメールでは、「わたくしがいま、しなければならない仕事をこなすだけでも、おかまりのコピーロボットが5体くらい必要」なほど多忙だと言っていた岡氏が、その後も講演会などいろいろ活動しており、今回の『金曜日』でもロングインタビューを受けているのは謎である。秘密裏に「おかまりのコピーロボット」が大量生産されているに違いない。「<佐藤優現象>に対抗する共同声明」の署名が大量に集まっている現在、情勢を見て、そのうちの一台が協力を申し出てくるかもしれない。一種の「運動」だから一概に拒否はしないが、私はもう個人的には関わりたくないな。
by kollwitz2000
| 2009-11-01 00:00
| 日本社会
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