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2009年 11月 10日
裁判の第3回口頭弁論期日は、以前にも述べたように明日11月11日であるが、11月5日付で裁判所・被告に送付した「準備書面(1)」から、「第1 本件記事の「公共性」・「公益性」」と「第3 補足」を掲載する(なお、原文にはないが、読みやすさのために、一部に強調をつけた)。
名誉毀損の免責が成立するためには、記事に公共性・公益性があることが少なくとも必要であるから、被告の新潮社らは当然そのように主張しているのだが、ここで私は、本件記事(甲1号証。『週刊新潮』2007年12月6日号掲載記事「佐藤優批判論文の筆者は「岩波書店」社員だった」)は佐藤優が昵懇の『週刊新潮』記者に書かせたものであり、佐藤の言論封殺行為の一環であって、「公共性」も「公益性」も全くない、と主張している。「新潮社・早川清『週刊新潮』前編集長・佐藤優氏への訴訟提起にあたって」 と重複しているところもあるが、佐藤のこれまでの言論封殺行為について比較的まとまっていると思うので、是非ご一読いただきたい。「第3 補足」では、佐藤がこのところ力を入れているらしい、緒方林太郎衆議院議員への攻撃(私によるブログの引用が契機らしい)についても触れている。 佐藤の言論封殺行為の問題は、もちろん佐藤のみに留まるものではない。佐藤によるこのような言動・行為を野放しにしているメディア、特に『世界』や『金曜日』など、佐藤と積極的に結託するリベラル・左派メディアの問題でもある。また、この『週刊新潮』の私に関する記事に便乗して、私への執拗な嫌がらせを行なってきている岩波書店労働組合、この記事に対して会社として抗議するどころか、この記事を根拠の一つとして、「会社に多大な迷惑を与えた」などと私に厳重注意を与え、退職勧告まで行なっている株式会社岩波書店の問題でもある(「首都圏労働組合特設ブログ」参照)。 ------------------------------------------------------------------ 第1 本件記事の「公共性」・「公益性」 1 本件記事(甲1号証)は,もっぱら,被告佐藤優(以下,「被告佐藤」という)が,原告の社会的評価を低下させることにより,原告の論文「<佐藤優現象>批判」(甲3号証。以下,「論文」という)の信頼性を低下させることを企図して,昵懇の 『週刊新潮』記者,被告株式会社新潮社(以下,「被告会社」という),被告早川清(以下,「被告早川」という)と結託して成立せしめたことは明らかであり,なんら公共性・公益性を有しない(なお,被告佐藤による,自身への批判を回避するための言動・行動については,「第3 補足」で詳しく論じる)。以下,具体的に述べる。 原告は,論文を,「1976年生まれ。会社員。韓国国籍の在日朝鮮人三世。」とのプロフィールの記述の下,自らの所属会社を明らかにせずに,被告も認めるとおり一私人として,発表したのであり,被告が本件記事で,原告が岩波書店社員であるという事実を摘示するまで,原告が運営するブログでも,岩波書店社員であることを原告は明らかにしていなかった。本件記事が摘示する,原告が岩波書店社員であるという事実,原告の異動経緯,原告への岩波書店社内の反応,「岩波関係者」の原告への評価等は,原告の論文内容とは何ら関係がなく,公共性を持たない。 本件記事は,原告の社会的評価を低下させることにより,原告の発表した論文の信頼性をも失わせるものであり,被告佐藤は,本件記事の成立にあたって,積極的に関与していると見なしうる。被告も「準備書面(1)」の「4」の「(3)」で「岩波書店の社員から「社外秘のはずの組合報まで引用され問題になっている」と耳にした被告佐藤」と記述しているところからも,被告佐藤が,単に本件記事中での自身の発言だけではなく,本件記事の成立に関与していることは明らかである。また,2009年3月14日に原告が『週刊新潮』編集部に電話したところ,その際応対に出た『週刊新潮』編集部佐貫(法務担当)は,本件記事を執筆した『週刊新潮』記者は,被告佐藤と昵懇の関係にあり,被告佐藤と「毎日のようにやりとりしている」と思うと発言している。 また,原告以外にも,これまで,被告佐藤の怒りを買ったと思われる書き手について,『週刊新潮』が中傷記事を書くというケースが,短期間の間に2つも存在する。 大鹿靖明(雑誌『AERA』編集部員)が執筆した記事「佐藤優という『罠』」(『AERA』 2007年4月23日号掲載)について,被告佐藤氏は代理人弁護士を通じて抗議し(『週刊金曜日』2007年5月11日号に被告佐藤による「大鹿靖明『AERA』記者への公開質問状」が掲載されている),公開質問状の掲載とほぼ同時期の発売である『週刊新潮』2007年5月17日号では, 「朝日『アエラ』スター記者が『佐藤優』に全面降伏」とのタイトルの記事(甲13号証)が掲載されている。この記事は,大鹿が被告佐藤に謝罪したこと,匿名の第三者による「記者としてこれからやっていけるのか」などの大鹿批判,被告佐藤による大鹿批判などを取り上げており,大鹿の社会的評価を低下させるものである。 また,原田武夫(原田武夫国際戦略情報研究所代表,元外務省職員)は,自身のブログで被告佐藤を批判する記事を書き(2007年5月13日付),2007年12月12日には,「佐藤優という男の「インテリジェンス論」研究(その1)」なる被告佐藤への批判記事をブログで掲載し,この批判をシリーズ化することを予告していた(甲14号証)。そして,被告佐藤への批判の内容を含む原田の著書(原田武夫『北朝鮮vs.アメリカ』ちくま新書,2008年1月10日発行)が刊行される直前である,12月29日発売の『週刊新潮』2008年1月3日・10日号で,「「天皇のお言葉」の秘密を暴露してしまった「元外務官僚」」なるタイトルの,大々的な中傷記事(甲15号証)を書かれている(この「元外務官僚」とは原田であることが,同記事では実名で示されている)。 このように,2007年5月~2008年1月という短期間に,原告の事例も合わせて,被告佐藤の怒りを買ったと思われる書き手について,『週刊新潮』が中傷記事を書くというケースが3つも存在しており,本件記事への被告佐藤の関与,本件記事執筆記者との親しい関係からも,本件記事の成立自体に被告佐藤が積極的に関与していることは十分に推認し得る。 また,被告会社は,被告佐藤の単著の本を,本件記事掲載時に至るまで,『国家の罠』(2005年3月25日刊行),『自壊する帝国』(2006年5月31日刊行),『国家の罠』(文庫版,2007年11月1日刊行)と3冊刊行しており,本件記事掲載直後の2007年12月18日にも,『インテリジェンス人間論』なる被告佐藤単著の単行本を刊行しており,被告会社と被告佐藤の関係は深く,被告会社が被告佐藤の著述家としての社会的評判を低下せしめない措置をとる合理的理由も存在する。 以上から,本件記事は,原告の社会的評価を低下させることにより,論文の信頼性の低下を企図して,被告佐藤が,昵懇の『週刊新潮』記者,被告会社,被告早川と結託して成立せしめたことは明らかであり,何らの公共性はない。 2 前項で述べたように,本件記事は何ら公共性を持っておらず,本件記事が摘示する事実も,論文内容とは無関係なものである。本件記事は,論文が原告の私怨に基づいて書かれており,客観性を持っていないと読者をして思わしめるものであり,原告に対する人身攻撃であって,なんら公益性を有しない。 第3 補足 (1) 「第1 本件記事の「公共性」・「公益性」」で,「本件記事は,原告の社会的評価を低下させることにより,論文の信頼性の低下を企図して,被告佐藤が,昵懇の『週刊新潮』記者,被告新潮社,被告早川清と結託して成立せしめたことは明らか」だと述べたが,ここでは,被告佐藤が,自身への批判を回避するために,自身の主張への批判を萎縮させる効果を持つ発言を繰り返していることを示しておく。 まず,「第1 本件記事の「公共性」・「公益性」」で挙げたように,被告佐藤の怒りを買ったと思われる書き手について『週刊新潮』が中傷記事を書くというケースが,短期間の間に原告のケースも含めて3つも存在することが挙げられる。これが,被告佐藤を批判する人物は,『週刊新潮』に中傷記事を書かれるという認識を読者に与える,「見せしめ」の効果を持つ,被告佐藤への批判を萎縮させるための行為であることは明らかであり,憲法第21条が保障する「言論の自由」への挑戦であると言える。 (2)また,被告佐藤自身も,被告佐藤を批判する人物が『週刊新潮』に中傷記事を書かれるという認識が一般読者に広がっていることを自覚し,そのことを利用して,自身への批判を萎縮させる行動を行なっていると思われる。 被告佐藤は,株式会社産経デジタルが運営するニュースサイト「イザ!」において「佐藤優の地球を斬る」を連載しているが,その連載の,2009年10月19日12時1分付で投稿された記事(表題「国益を損なう「思いつき外交」」(甲17号証)において,以下のように述べている。 「もちろん外務官僚もこのこと(原告注・岡田克也外相がアフガニスタン「電撃訪問」の結果,「恥をかいた」ということ)に気づいている。「今回の(岡田)大臣のアフガニスタン電撃訪問は,外務省出身の民主党衆議院議員の入れ知恵によるもので,われわれとしても当惑しています」という情報を流している。近く,週刊誌でスキャンダル仕立ての記事になるかもしれない。与野党問わず外務官僚出身の議員には,外交官としてのたいした経験もないのに官僚的体質を引きずっている者がいる。そういう人間の専門知識を欠いた助言を採用すると国益を毀損し,岡田外相自身の政治力も低下する。」 また,被告佐藤は,株式会社ライブドアの運営するニュースサイトでの連載「佐藤優の眼光紙背」の,上記記事の投稿と同時期(2009年10月21日11時0分)に投稿した,「岡田外相の危険な思いつき外交」なる表題の記事(甲18号証)でも,以下のように述べている。 「外務省関係者が筆者に流してきた情報によると,今回の電撃訪問は,外務官僚出身の民主党国会議員が岡田外相に進言して行われたという。アフガニスタンは専門知識を必要とされる地域だ。外務官僚であったという過去があるから,適切な外交政策を提言できるという保障はどこにもない。こういうことを繰り返すと,日本人は頭が悪いと国際社会から軽く見られるようになる。」 被告佐藤はここでも,「外務官僚出身の民主党国会議員」を攻撃している。そして,この「外務官僚出身の民主党国会議員」は,多くの読者からすれば,緒方林太郎衆議院議員(民主党・福岡9区・当選1回)を指すと理解されると思われる。緒方は,外務官僚出身の民主党国会議員である。 被告佐藤は,自身への批判的記述のあった,緒方のブログの記事(「Raspoutin Japonais」2007年3月4日20時投稿。甲19号証に対して,被告佐藤による上記2つの記事の投稿の直前である10月7日付の内容証明を送付し,抗議している。その結果,緒方の上記記事は削除され,緒方により,そこには,かわりに,以下の文章(甲20号証)が記されている。 「2年半前くらいにこのアドレスで書いた記事を削除しました。関係者の代理人という弁護士の方から「名誉毀損だ」という平成二十一年十月七日付内容証明が議員会館に送られてきました。 この場に書かれていたエントリーは衆議院選挙候補者になる前に書いたもので,書いた事実を放念していました。このブログで誰かと戦っているわけではなく,たしかに内容証明が送付されてきた時点においては国会議員の名の下で存在するブログになっていたわけであり,特定の私人の評価に過度に踏み込むものは適切ではないと判断しました。 上記を踏まえ,削除しておきます。なお,内容証明の中で「謝罪を求める」と書いてありましたので,上記の認識の下,お詫び・訂正をいたします。」 また,被告佐藤の熱心なファンであり,被告佐藤の執筆・講演活動などを,ほぼ網羅的に情報発信しているブログ「マイページ」を運営しているハンドルネーム「えっつぃ」は,同ブログに2009年10月17日22時21分付で投稿した記事「民主党: おがた林太郎氏」(甲21号証)において,以下のように証言している。 「さて,10月16日の佐藤さんの講演によると,やはり,(原告注・緒方を)許さないようですね。(笑) 2週間後の週刊誌?で,書いてしまうようです。 そういえば,以前言われていましたが,佐藤さんには,「水に流す」っていう習慣が無いそうです。 おがた氏も,えらい人を敵に回してしました。 口は本当に災いのもとですね。 (中略) 10月11日の講演で佐藤さんは,おがた林太郎氏に対しても言及。 おがた氏は,外務省勤務の際に感じた佐藤さんの事を2007年に不適切な批判をしていました。 それについて,佐藤さんは,内容証明書付きで送付し,謝罪が無い場合については,週刊誌などで言及すると言われていました。 民主党が選ばれたのでは無く,自民党が大負けしたことをわからなければならない。決して優秀な人が議員になっている訳ではない事を,このおがた氏を例に出して言及。」 緒方自身が「書いた事実を放念してい」たとする,緒方の記事を佐藤が取り上げるに至ったのは,原告が,自身のブログ「私にも話させて」で,2009年9月21日付で投稿した記事「外務省時代の佐藤優に関する民主党当選議員の証言」(甲22号証)で,被告佐藤と同時期に外務省に勤務していた緒方が,被告佐藤について,「あれを私物化と言わなければ,私物化という言葉が死語になってしまうくらい(原告注・ロシア外交を)私物化してい」たなど,批判的に記述していることを紹介したことが発端であると思われる。原告の同記事がきっかけで,緒方が被告佐藤を批判していたことが,インターネット上で広く話題になっていったからである。 以上より,被告佐藤が,自身を批判していた緒方に対して,強い憤りの感情を抱いているであろうこと,または,強い憤りの感情を抱いていることは,被告佐藤の「イザ!」への10月19日付記事の投稿時点で,多くの人間に認識されていたと解するべきであり,同記事において,「外務省出身の民主党衆議院議員」について,被告佐藤が「近く,週刊誌でスキャンダル仕立ての記事になるかもしれない。」などと述べていることが,被告佐藤を批判する人物が『週刊新潮』に中傷記事を書かれるという認識が一般読者に広がっていることを自覚し,そのことを利用した上での,自身への批判を萎縮させる効果を狙った発言であることが,十分に推認し得る。 (3)また,被告佐藤は,以下のように,テロリズムを背景とした,自身の主張への批判を萎縮させる効果を持つ発言を頻繁に行なっている。 被告佐藤は,各誌・単行本で,ガザ侵攻等のイスラエルの軍事行動を擁護する発言を繰り返しており,国際法違反すら容認している(『国家の謀略』小学館,2007年12月4日刊行,275~276頁。甲23号証)。被告佐藤が,イスラエルの軍事行動を一貫して擁護している人物であることは,数多くの著作によって,広く知られている。 その一方で被告佐藤は, 「アラブの原理主義やパレスチナの極端な人たちの中から,「佐藤は日本におけるイスラエルの代弁者だ」ということで,「始末してしまったほうがいい」と言ってくる人たちが出てくるかもしれない。それはそれでかまわない。それを覚悟で贔屓しているわけです。しかしそれと同じように,アラブを贔屓筋にしている人たちは,イスラエルにやられても文句は言えないですよという話です。たとえばアルカイダ,ハマス,ヒズボラのテロリストを支援するような運動をやった場合,これはイスラエルにとって国家存亡の問題ですから,その人は消されても文句は言えない。それくらいの覚悟が求められる贔屓筋の話だと思います。」(『インテリジェンス 武器なき戦争』(手嶋龍一との共著,幻冬舎,2006年11月30日刊行。甲24号証),168頁) 「日本の論壇では,中東問題について,親パレスチナ,親イランの言説が大手を振るって歩いている。筆者は,数少ない,イスラエルの立場を理解しようとつとめる論客に数え入れられているようだ。講演会の質疑応答でも,(あまり数は多くないが)思考が硬直し,自らが日本人であることを忘れ,ハマスやヒズボラの代理人であるかの如き人を相手にすることがある。」(「なぜ私はイスラエルが好きなのか 上」『みるとす』2009年4月号,20頁。甲25号証) などと語っており,イスラエルの軍事行動を批判する人物を,「ハマスやヒズボラの代理人であるかの如き人」とした上で,そのような人物はイスラエルに「消されても文句は言えない」と主張している。 また,被告佐藤は,自身がモサド元長官をはじめとして,イスラエルの多数の要人と懇意であることを多くの媒体で表明しており,イスラエルで「インテリジェンス」を勉強した,そのことは自分の本や論文を読めば誰にでもわかるとの旨の発言を行っている(佐藤優「『AERA』,『諸君!』,左右両翼からの佐藤優批判について」『月刊日本』2007年6月号,39・40頁。甲26号証)。 以上のように,被告佐藤は,自身のイスラエルとの関係の深さをことさらに顕示した上で,イスラエル批判者はイスラエルに殺害されても文句は言えないなどと,「言論の自由」を原理的に否定する主張を行っており,こうした被告佐藤の振る舞いおよび発言が,被告佐藤のイスラエル擁護の諸発言を批判することを萎縮させる効果を持つことは明らかである。 実際に,被告佐藤は,自身を批判した漫画家の小林よしのりを攻撃する文章の中で,以下のように述べている。なお,この文章は,「言論封殺魔」(被告佐藤のこと)との争いに脅える「大林わるのり」(小林よしのりのこと)の架空の相談に,被告佐藤が忠告するという形式で書かれている。 「まず,「言論封殺魔」の履歴をきちんと調べることです。CIA(米中央情報局),KGB(旧ソ連国家保安委員会),モサド(イスラエル諜報特務庁)などと「言論封殺魔」が関係をもったことがあり,インテリジェンス業務の経験があるならば要注意です。」(「佐藤優のインテリジェンス職業相談 第三回」『SPA!』2008年12月9日号,24・25頁。甲27号証) こうした発言が,被告佐藤が,モサド等と関係が深いという自身のイメージを利用した,小林に対する威嚇であることは明らかである。 また,被告佐藤は,オリックスの宮内義彦会長の発言に対しても,「北海道の右翼が情けないですよね。街宣車で会社の回りをグルグル回るというようなことをして,怖いと思わせなければ,こういう発言はやめないですよね。「発言は自由である。しかし,それには責任がともなう。これが民主主義だ」って」などと,言論に対して暴力をちらつかせて威圧させて黙らせることを積極的に肯定している(山口二郎編著『政治を語る言葉』七つ森書館,2008年7月1日刊行,242頁。甲28号証)。これが,「言論の自由」の原理的な否定であることは明らかである。 こうした被告佐藤の「言論の自由」への挑戦と言える特異な言動は,多くの人間が注目し,警戒するところとなっており,11月5日時点で99名が署名している「<佐藤優現象>に対抗する共同声明」(甲29号証。原告が管理するブログ「資料庫」で公開されている)も,「佐藤氏は,言論への暴力による威圧を容認し」ていると述べた上で,本件訴訟にも触れ,被告佐藤と本件記事と論文について,「佐藤氏は,その記事のなかで,同論文を「私が言ってもいないことを,さも私の主張のように書くなど滅茶苦茶な内容」だなどと中傷しています。これは,市民の正当な言論活動を萎縮させかねない個人攻撃です」と指摘している。被告佐藤のこのような特異な言動は,自身の主張への批判を萎縮させるためのものであることは明らかであり,このことは,本件記事が,自身への批判者に対する「見せしめ」のための,被告佐藤への批判を萎縮させるためのものであることを裏付けている。 (4)また,被告佐藤は,小林による雑誌『SAPIO』および雑誌『わしズム』における自身への批判に対しても,直接反論することなく,小林の批判を掲載した『SAPIO』(株式会社小学館発行)編集長に対して,「既に刊行した書籍の重版を中止し,他の版元から文庫本を出す」,「刊行中の書籍は一切引き揚げ,この会社で行っている雑誌連載や出版計画などもすべて白紙撤回す」る,「今回の内幕について,どこかの雑誌に手記を寄稿するか,新書本を書き下ろす」などと通告するなどの圧力をかけて,自身への批判の掲載をやめさせようとしている(「佐藤優のインテリジェンス職業相談 第一回・第二回」『SPA!』2008年9月23日号,27~29頁。甲30号証)。被告佐藤のこうした行為から,小林は被告佐藤を「言論封殺魔」と名づけて批判しているが,被告佐藤は,こうした小林の批判に対し,小林が指摘するように,その行為の「言論封殺」性を否定することのないまま,開き直りと言える態度をとっている。 被告佐藤がこのように,わざわざ公開の形で『SAPIO』編集長に対して圧力をかけたのは,被告佐藤への批判を掲載すると,紛糾事態が生じるということを各誌の編集者に知らしめ,被告佐藤を批判する記事を掲載することを各誌の編集者に萎縮させるためであると思われる。これも,本件記事が,自身への批判者に対する「見せしめ」のための,被告佐藤への批判を萎縮させるためのものであることを裏付けている。 (5)なお,『実話ナックルズRARE』2008年11月号の記事「マスコミを手玉に取る「佐藤優」の「剛腕」ぶり」(甲31号証)は,大鹿や原告への被告佐藤の行動を,「エグい批判封じ」と報じており,「佐藤を知るジャーナリスト」の証言を用いて,本件記事は「佐藤が新潮に書かせたものだったんじゃないかといわれている」と述べている。また,『中央ジャーナル』第203号(2008年11月25日発行。甲32号証)の記事「佐藤優が岩波書店社員を恫喝」においても,被告佐藤が,「出版社への佐藤批判封じ」をエスカレートさせ」ていると報じられている。 以上述べたように,被告佐藤は,批判に対しては言論による反論で応じるという,「言論の自由」の下での基本的な原則を一貫して踏み躙っており,被告佐藤のこのような言動・行動から,本件記事は,原告の社会的評価を低下させることにより,論文の信頼性の低下を企図して,被告佐藤が,昵懇の『週刊新潮』記者,被告新潮社,被告早川清と結託して成立せしめたことは明らかであると考える。
by kollwitz2000
| 2009-11-10 00:00
| 佐藤優・<佐藤優現象>
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