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2010年 03月 20日
論文「<佐藤優現象>批判」(以下、論文と略)が佐藤の発言を「曲解している」などと、佐藤優が主張している件の続きである。佐藤が「曲解している」として挙げている9箇所について、今回、7・8・9箇所目を挙げることで、ようやく全部紹介できたことになる((1箇所目、2箇所目、3箇所目、4箇所目、5・6箇所目については既に述べた)。以前述べたように、この「曲解している」とする9箇所と、「人民戦線」云々という「言っていないこと」を挙げて、佐藤は私の論文について、「私が言ってもいないことを、さも私の主張のように書くなど滅茶苦茶な内容です。言論を超えた私個人への攻撃であり、絶対に許せません。」と『週刊新潮』で発言しているのである。なお、「人民戦線」云々については、第6回期日で安田好弘弁護士により、改めて論じられている。すこぶる興味深い内容なので、後日紹介する。
さて、今回は7・8・9箇所目を紹介することになるが、前回紹介した5・6箇所目と同様に、これらは、ほとんど論点らしきものがなく、佐藤側も恐らく「言ってみただけ」というもののようにすら思われるものである。 7箇所目(被告準備書面(2)では2番目に挙げられている)から紹介しよう。佐藤側の主張、被告準備書面(2)の該当箇所を紹介する(下線強調は原文)。 --------------------------------------------------------- (2)「論文」128頁下段17行日~129頁下段2行目 原告は「日米開戦の真実一大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く」(小学館、乙4号証)から被告佐藤の日本の近現代史に関する自己の歴史認識が開陳されていると称する部分を引用しているが、引用が恣意的である。被告佐藤は同著240頁で以下のようにも書いているが、この部分は引用されていない。 「ここでの大きな問題は、『他の諸国から収奪されているあなたの国を将来解放したいのだが、今は私に基礎体力が欠けるので、当面、基礎体力をつけるために、期間限定であなたから収奪する。それがあなたのためになるのだ』という論理は、収奪される側からは、まず受け入れられないにもかかわらず、当時の日本人には見えなかったことである。他国を植民地にし、そこから収奪しているという認識があれば、やりすぎることはない。やりすぎで、相手をあまり疲弊させると収奪できなくなってしまうからだ。それに対して、われわれの目的は収奪ではなく、あなたの国を植民地支配から解放することだという基本認識で、期間限定の基礎体力強化のために、『協力していただく』という枠組みを作ると、相手に対して与える痛みを自覚できなくなってしまう。」 --------------------------------------------------------- この箇所については、佐藤側の主張はこれで全部である。以下は、私の反論(原告準備書面(2))である。 --------------------------------------------------------- (2)「論文」128頁下段17行日~129頁下段2行目 被告は,「原告は「日米開戦の真実一大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く」(小学館,乙4号証)から被告佐藤の日本の近現代史に関する自己の歴史認識が開陳されていると称する部分を引用しているが,引用が恣意的である。」と主張している。 だが,引用の元の箇所(甲41号証)が示すように,引用した部分は,被告佐藤の「日本の近現代史に関する自己の歴史認識を開陳」したものであって,引用が恣意的との非難は何ら当たらない。 また,被告は,同書で原告が引用しなかった箇所を挙げているが,それは上記の引用部分の論旨を否定するものではなく,上記の引用部分が被告佐藤の「日本の近現代史に関する自己の歴史認識を開陳」したものである以上,原告の引用が「恣意的」で,被告佐藤の主張を「曲解」しており,「言ってもいないこと」をさも被告佐藤の主張のように言っていることに当たらないことは明白である。被告の主張は失当である。 --------------------------------------------------------- 次に、8箇所目(被告準備書面(2)では3番目に挙げられている)として、佐藤側の主張、被告準備書面(2)の該当箇所を紹介する(下線強調は原文)。 --------------------------------------------------------- (3)「論文」129頁下段14行目~20行目 《さらに、現在の北朝鮮をミュンヘン会談時のナチス・ドイツに例えた上で、「新帝国主義時代においても日本国家と日本人が生き残っていける状況を作ることだ。帝国主義の選択肢に戦争で問題を解決することも含まれる」としている。当然佐藤にとっては、北朝鮮の「拉致問題の解決」においても、戦争が視野に入っているということだ。》との記述がある。 しかし、この引用は上述の「新帝国主義の選択肢」(乙2号証)の途中からのもので、「狭義の外交力、すなわち政治家、外交官の情報(インテリジェンス)感覚や交渉力を強化し、」という部分が抜けている。原告はこの部分を引用せずに、当然被告佐藤にとっては戦争が視野に入っていると結論づけているが、これは曲解である。また、ここで問題にされているのは北朝鮮が行ったミサイル発射及び核実験であって、それによってごり押しを行う北朝鮮をミュンヘン会談時のナチス・ドイツに例えているのに、原告はそれとは直接関係のない「拉致問題の解決」と無理矢理結びつけている。被告佐藤による記述は以下のとおりである。 「帝国主義の時代では、各国が自らの国益を露骨に打ち出し、折り合いをつける勢力均衡外交が基本になる。その場合、ごり押しをする国家についても、当該国を戦争でたたきつぶすことと妥協して均衡点を見いだすことを天秤にかけて、妥協の方が有利になるという見積もりになれば、結果としてごり押しをする国家が得をする。 1938 年のミュンヘン会談でイギリス、フランスから妥協を取り付けてチェコスロバキアからズデーテン地方を獲得したナチス・ドイツを同じような「成果」を現在、北朝鮮が獲得している。 このような状況に「ケシカラン」と反撥しても時代は改善しない。狭義の外交力、すなわち政治家、外交官の情報(インテリジェンス)感覚や交渉力を強化し、新帝国主義時代においても日本国家と日本人が生き残っていける状況を作ることだ。帝国主義の選択肢には戦争で問題を解決することも含まれる。これは良いとか悪いとかいう問題でなく、国際政治の構造が転換したことによるものだ」(乙2号証)。 --------------------------------------------------------- この箇所については、佐藤側の主張はこれで全部である。以下は、私の反論(原告準備書面(2))である。 --------------------------------------------------------- (3)「論文」129頁下段14行目~20行目 被告は,原告による,被告佐藤の《さらに,現在の北朝鮮をミュンヘン会談時のナチス・ドイツに例えた上で,「新帝国主義時代においても日本国家と日本人が生き残っていける状況を作ることだ。帝国主義の選択肢には戦争で問題を解決することも含まれる」としている。当然佐藤にとっては,北朝鮮の「拉致問題の解決」においても,戦争が視野に入っているということだ。》との発言の引用について,「この引用は上述の「新帝国主義の選択肢」(乙2号証)の途中からのもので,「狭義の外交力,すなわち政治家,外交官の情報(インテリジェンス)感覚や交渉力を強化し,」という部分が抜けている。原告はこの部分を引用せずに,当然被告佐藤にとっては戦争が視野に入っていると結論づけているが,これは曲解である。」と主張している。 だが,仮に「狭義の外交力,すなわち政治家,外交官の情報(インテリジェンス)感覚や交渉力を強化し,」という部分が入っていたとしても,被告佐藤が「帝国主義の選択肢には戦争で問題を解決することも含まれる」と明言している以上, 被告の「当然佐藤にとっては,北朝鮮の「拉致問題の解決」においても,戦争が視野に入っているということだ」という指摘は,何ら曲解ではない。被告の主張は失当である。 また,被告は,「ここで問題にされているのは北朝鮮が行ったミサイル発射及び核実験であって,それによってごり押しを行う北朝鮮をミュンヘン会談時のナチス・ドイツに例えているのに,原告はそれとは直接関係のない「拉致問題の解決」と無理矢理結びつけている。」などと主張している。 だが,被告佐藤は,論文「対北朝鮮外交のプランを立てよと命じられたら」(甲40号証)において,以下のように発言している。 「対北朝鮮外交における日本国家の原理原則とは何なのだろうか。筆者は拉致問題の完全解決と思う。拉致問題が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)という国家による日本人の人権に対する侵害であることは論を俟たない。それと同時に,北朝鮮の国家意思に基づいて工作員が主権国家である日本の領域に不法侵入し,日本国民を拉致したという日本国家の主権に対する侵害でもある。日本国家の国権と日本人の人権が侵害された複合的な事案であり,拉致問題の完全解決は日本として譲ることのできない国家としての原理原則問題だ。拉致問題を疎かにするようでは日本国家が内側から崩壊する。逆に現在,日本外務省が北朝鮮に対して毅然たる対応をとらず,戦略的外交を展開して北朝鮮を追い込めていないのは,日本の国家体制が内側から弱体化していることの現れなのかもしれない。」 このように,被告佐藤は,「対北朝鮮外交における日本国家の原理原則」を「拉致問題の完全解決」とした上で,日本外務省に対して「拉致問題」の件で「北朝鮮を追い込めていない」ことを批判しており,かつ,甲40号証の発表日から乙2号証の発表日(2007年6月6日)の間に,被告佐藤が「拉致問題の解決」が果たされたと認識するに至る案件が生じたとは言えないから,被告佐藤は,乙2号証の発表日時点においても,「拉致問題の解決」が実現していないと認識していると解されるべきである。前述のように,被告佐藤が,「新帝国主義時代においても日本国家と日本人が生き残っていける状況を作ることだ。帝国主義の選択肢には戦争で問題を解決することも含まれる」と明言している以上,原告が,「戦争が視野に入っている」とした問題の対象として,「拉致問題の解決」を挙げていることは,「無理矢理」ではなく,十分な根拠があり,正当である。被告の主張は失当である。 --------------------------------------------------------- 最後の9箇所目(被告準備書面(2)では4番目に挙げられている)として、佐藤側の主張、被告準備書面(2)の該当箇所を紹介する。 --------------------------------------------------------- (4)「論文」129頁下段20行目~130頁上段3行目 原告は、上記の《当然佐藤にとっては、北朝鮮の「拉致問題の解決」においても、戦争が視野に入っているということだ》との結論を補強するために、続けて、《『金曜日』での連載においても、オブラートに包んだ形ではあるが、「北朝鮮に対するカードとして、最後には戦争もありうべしということは明らかにしておいた方がいい」と述べている》と書くが、この『金 曜日』の記事で被告佐藤は、原告の引用箇所に続いて、もし戦争になれば日本を含む周辺国に大変な害が及ぶので、「問題を平和的に解決する算段を最後の最後まで考えることが日本の国益に貢献する」と書いているが、原告はこの部分を引用していない(乙3号証)。 --------------------------------------------------------- この箇所については、佐藤側の主張はこれで全部である。以下は、私の反論(原告準備書面(2))である。 --------------------------------------------------------- (4)「論文」129頁下段20行目~130頁上段3行目 被告は,「原告は,上記の《当然佐藤にとっては,北朝鮮の「拉致問題の解決」においても,戦争が視野に入っているということだ》との結論を補強するために,続けて,《『金曜日』での連載においても,オブラートに包んだ形ではあるが,「北朝鮮に対するカードとして,最後には戦争もありうべしということは明らかにしておいた方がいい」と述べている》と書くが,この『金曜日』の記事で被告佐藤は,原告の引用箇所に続いて,もし戦争になれば日本を含む周辺国に大変な害が及ぶので,「問題を平和的に解決する算段を最後の最後まで考えることが日本の国益に貢献する」と書いているが,原告はこの部分を引用していない(乙3号証)。」などと主張している。 だが,被告佐藤が,《「北朝鮮に対するカードとして,最後には戦争もありうべしということは明らかにしておいた方がいい」と述べている》こと自体は事実であり,その後の部分を引用していないことは「曲解」でもなんでもない。被告の主張は失当である。 --------------------------------------------------------- どうであろうか。上で取り上げた3箇所に関する佐藤の主張が、いかにとってつけたものであるかは明らかだと思う。特に真ん中の8箇所目については、我ながら、このようなつまらない主張によくこれだけ長々と付き合ったものだ、と書き写しながら改めて思った。 ここに挙げた、こうした無内容な主張まで行なって、「曲解している」とする箇所を増やそうと佐藤がしてくること自体が、「人民戦線」云々だけでは「私が言ってもいないことを、さも私の主張のように書くなど滅茶苦茶な内容」「言論を超えた私個人への攻撃」とする説得力を欠いている、と佐藤が認識していることを示していると思われる。 以上、佐藤が「私が言ってもいないことを、さも私の主張のように書」いたと述べた根拠として挙げてきた、「言っていないこと」「曲解していること」の全ての箇所に対して、反論を行なった。この反論により、佐藤の主張が何らまともな根拠のないものであったこと、また、『週刊新潮』の記事が、私への人身攻撃であること、また、『週刊新潮』の記事が、私の社会的評価を低下させることにより、論文「<佐藤優現象>批判」の信頼性の低下を企図したものであることが明らかにされたと考える。佐藤は私の論文への反論を回避するために、このような「言論封殺」行為を行なったと思われる。 ■
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by kollwitz2000
| 2010-03-20 00:00
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