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2010年 06月 20日
1.
菅直人政権への支持率がこれだけ高いとは、率直に言って予想外だった。本当に、暗澹たる思いである。菅首相自身については、昔書いた記事以上の感想はないが、これも以前指摘したように、「目指されているのは、絶対的な安定政権なのであって、その下でのみ、改憲や消費税増税や日米FTAの締結など、大衆から強い反発を買うであろう政策を実施できるのである。だから、より力の強まった形での民主党政権と大連立は基本的に同義なのであって、両者は簡単に入れ替わる」。仮に民主党が参議院選で単独過半数が実現するほど勝利すれば、上で言うところの「より力の強まった形での民主党政権」になるのであって、大連立が成立したのとほぼ同じことになる。 そして、これも以前指摘したことであるが、「自民党にせよ民主党にせよ、日本国家・日本社会の排外性・親ファッショ的な性格を問題にしていないのだから、両党の抗争がそれなりに互角の場合には、相手に攻撃材料を与えないためにそうした傾向の顕在化を自重するが、権力が集中すれば、排外的・ファッショ的に必然的になるのである」。とりあえず、参議院選後に予想される、日韓「和解」策の破綻とかで、民主党政権が自滅してくれるのを待つしかあるまい。 2. いまだに「確かに民主党は酷いけれどもそれでも自民党よりはマシ」などと言う人間が後を絶たないが、その命題について考えるために、もちろん現在の民主党全体を代表するものとすることはできないにせよ、菅首相が格好のテキストを提供してくれている。菅直人『日本大転換』(光文社、1996年)から引用しよう(強調は引用者、以下同)。 <それより、日本には(注・PKF参加等の軍事的「国際貢献」ではなく)もっと違うかたちでの国際貢献が求められていると思う。 そのことを考えるうえで、印象的な場面がありました。カンボジアに日本から派遣されていたPKO部隊を訪ねたときのことです。 むろん、彼らは全員自衛隊員で、志願するかたちでPKO部隊に参加していた。私は自衛隊員の何人かに「なぜ志願して、PKO隊員としてカンボジアに来る気になったのですか」と訊いてみました。すると自衛隊員たちは、異口同音に「日本のため、国益のため」と答えた。 私は「世界の平和のため」「アジアの安定のため」「カンボジアの人たちの人権のため」といった返事もあるのではと予想していただけに、少し奇異に感じた。おそらく自衛隊における教育で、「PKOは国益のため」と教えこまれた結果でしょう。 しかし、この言葉を裏返してみると、「日本は国益のためなら行くが、国益にならないことには参加しない」という意味の言葉とみられてもしかたがない。 PKOに参加することを含め、これからの国際貢献については、そう考えるべきではないと、私は思う。これからは、直接的には国益につながらなくても、どんどん支援するべきだと。じつは、世界の平和そのものが、日本にとっては大きなプラスなんだという視点で物事を考えないと、この国は行く先をまちがうような気がする。これは、きれいごとではなく、そういうかたちで考えないと、国際的な通商で豊かになってきた日本の将来は危ないし、日本の国際的な立場に筋が通ってこない、とも思う。>(214~215頁) 海外派兵を展開するということ自体は自民党にせよ民主党にせよ同じである。だが、民主党においては、<国益>だけではなく、<理念>が付け加わる。それによって、日本国内の反対論はより容易に沈静化させられ、自らが<正義>という自意識の下で、海外派兵はより円滑に進められることになる。ちょうど、アジア太平洋戦争で、「日支親善」「大東亜解放」「欧米帝国主義の打破」といった<理念>があったからこそ、円滑に侵略・虐殺ができたのと同じことである。(そしてまさに左翼がそうした<理念>を煽動していたわけだが。竹内好を再評価するなどといった行為が、どれほど犯罪的なことであるかは、キムチョンミ氏の文章等を参照のこと)。 上の菅の発言は、対テロ戦争(「国際的な通商で豊かになってきた日本の将来」のためには不可欠である)や「人道的介入」といった軍事展開に関して、民主党の方が自民党よりもはるかに適合的であることを強く示唆している。戦後日本が「平和国家」であったなどという倒錯した自意識を持っており、<理念>的なものを(本気で)信じているらしい人々の方が、「日本のため、国益のため」しか考えていない人々よりも、はるかにはた迷惑なのである。保守的な孤立主義者の方がマシだ。 もうひとつ、同書から菅の発言を引用しておこう。 <近年、自民党、新進党の一部、また外務省から、国連の常任理事国入りを目指す声があがっています。国連へは拠出金をいっぱい出していることだし、常任理事国になれば情報も迅速に入手できる。また、重要な決定にも参加できるという理由からです。茶化すわけではないが、たしかに外務省の省益からいえば、そういうことになるでしょう。 しかし、私は国連の常任理事国入りすることには、二つの点で疑問を感じています。 ひとつは「軍事制裁など、軍事行動についての国連の決定に常任理事国の立場で関与すること」への懸念です。 わが国の憲法は、自衛以外では武力の行使を禁じており、自衛隊を制裁のために他国へ派遣することは、憲法上許されない。正規の国連軍となれば、また少し別の議論になると思いますが、湾岸戦争のときのような多国籍軍のかたちでは憲法上許されない。 しかし、常任理事国になり、軍事制裁を決める決定に参加すれば、他の常任理事国から軍隊の出動を強く要請されることを当然予想される。それにかぎらず、現行憲法を前提とするかぎり、常任理事国として活動するには、矛盾が多すぎます。 もうひとつは、常任理事国に前提条件をつけずに自ら希望して参加すると、現在の常任理事国のあり方に、はっきり意見が言えなくなる恐れがある。現在、五つの常任理事国はすべて核保有国であり、同時に武器輸出大国でもある。国連は、そういうことを抑止しなければならないのに、そういう国が常任理事国になっている。 そこに、国連という組織の悲しさがあります。 常任理事国は、言い換えれば核独占クラブであり、武器輸出国同盟であるのです。ですから現在の常任理事国の自己改革が必要で、そうすれば、世界はかなり平和になるともいえます。常任理事国の現状をそのまま是認したかたちで、そのなかに入っていくのは、日本のあり方と矛盾する誤った大国主義、あるいは身の程を知らない“大国趣味”と言っていいと思います。 また、日本の国民のなかに常任理事国としての責任を負う十分な覚悟があるとも思えない。外務省の省益から常任理事国入りを急ぐのは、国益からいってもけっして得策ではないでしょう。>(218~219頁) 民主党の参議院選のマニフェストでは、「アフガニスタンなどの平和構築に役割を果たすため、PKO活動などでの自衛隊および文民の国際貢献活動のあり方について検討するとともに、安保理常任理事国入りをめざします。」と謳われている。私は別に菅が転向した、と言いたいのではない。そうではなく、「大国主義」が「日本のあり方」と矛盾せず、「日本の国民のなかに常任理事国としての責任を負う十分な覚悟」が育ったと判断しているがゆえに、「安保理常任理事国入り」が掲げられるように至ったのではないか、と思う。「大国主義」の国民としての「覚悟」が存在することを前提として、アフガンその他への海外派兵が志向されているのである。その点においても、単に「国益のため」の海外派兵を志向する人々よりも、より悪質かつ危険であると言える。
by kollwitz2000
| 2010-06-20 00:00
| 日本社会
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