by kollwitz2000 カテゴリ
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2018年 02月 05日
山田次郎という方が「デジタル鹿砦社通信」で、
「のりこえねっと・北原みのりの錯誤と佐藤優を容認するリベラル論壇の癒着」 という記事を書いている。なかなか面白い記事であるが、いくつか補足したい点と、認識を異にする点があるので、以下、記しておく。 山田氏は、北原みのりと佐藤優の対談本『性と国家』(河出書房新社、2016年11月刊)を取り上げており、同書の中の、 <北原 いままで佐藤さんの本を手に取ったことのなかった女友達からは、100パーセントの確率で「佐藤さんっていい人なんだね!」という読後の感想をいただきます(笑)。 佐藤 そうですか、強面のイメージがありますからね(笑)。> という北原と佐藤のやりとりを引用した上で、私に対する佐藤の攻撃を挙げ、北原を批判している。だが、そこは私の件よりも、むしろ佐藤のこれまでの具体的な諸発言を挙げた方が良かったであろう。 2009年10月1日に発表された「<佐藤優現象>批判に対抗する共同声明」では、「佐藤氏は、言論への暴力による威圧を容認し、イスラエルの侵略・抑圧行為や在日朝鮮人の民族団体への政治的弾圧を擁護する等の、決して許容できない発言を、数多くの雑誌・著作物で行っています。当該メディアが佐藤氏を積極的に誌面等で起用することは、人権や平和に対する脅威と言わざるを得ない佐藤氏の発言に対する読者の違和感、抵抗感を弱める効果をもつことは明らかです。」とまとめられている。 具体的な佐藤の発言とその解釈については、以下の記事をご参照いただきたい。 「朝鮮学校排除問題と<佐藤優現象>」 「佐藤優のイスラエル擁護に嫌悪感を抱かないリベラル・左派の気持ち悪さ」 また、山田氏は、佐藤が買春接待を行ったと報じられていることも挙げたうえで、北原の見解を問うべきだったのではないか。 詳しくは私が以前書いた記事「佐藤優の議員団買春接待報道と<佐藤優現象>のからくり」 を見ていただきたいが、『テーミス』2002年9月号において、佐藤は藤本順一によるインタビューで、以下のように語っている。 <佐藤 僕は、在モスクワ大使館当時、自民党の小渕訪ソ団一行のアテンドをしたことがある。彼らは、チャーター機2機を連ねてモスクワに来たが、その中の一部の議員が、「オイッ、夜の観光に連れて行け」といったものだ。/僕は16台の車を用意してその手の女性のアパートに彼らを引き連れていった。/とくにひどかったのが、T議員やY議員(実名)だった。多くの日本の政治家は外交というと、夜の女性のことしか興味がない。少なくとも鈴木先生はそんな卑しい政治家じゃなかった。> 同じ藤本の記事「驚愕証言「訪ソ議員団売春疑惑」を暴く 佐藤優を参考人招致せよ」(『週刊文春』2007年3月8日号)では、藤本は、以下のように書いている。 <02年3月、佐藤氏が逮捕される2ヶ月ほど前のことだ。すでに逮捕を覚悟していたのだろう。「福田(康夫。元官房長官)と鈴木(宗男)先生以外はロシアで(オンナを)買っている。オレがみんな世話したんだ。こうなったら全部ぶちまけてやる」対ロ外交への思いを熱く語った約二時間にわたるインタビューの最後に佐藤氏は筆者に対してこうまくしたてた。> <訪ソ団には、故晋太郎元外相が率いた清和会に所属する安倍チルドレンと呼ばれた若手議員たちも参加していた。今日の安倍政権につらなる議員たちだ。そのアテンド役を務めたのが佐藤氏だった。 今は非主流派に属するその一人が、匿名を条件に「いかがわしい接待」について証言する。 「ホテルの部屋の前まで、一時間置きに入れ替わり立ち替わりオンナが誘いにくる。ところが、佐藤に街娼は危ないから買うなと注意され、それじゃ夜何もすることがないからどこかに連れて行けと言ったら、バスに乗せられコスモス(ホテル)のディスコに連れて行ってくれた。カジノもあったかなあ。入場料が確か20ドルだった。店は出会いの場所を提供するだけで警察も目を光らせていた。こっちは交渉がまとまってモスクワ大学の女子学生にお持ち帰りされた。ずいぶん昔のことでどんな顔ぶれだったか?今や大臣クラスの人も一緒に遊びにいった。」> また、佐藤自身は「独占手記 外務省の腐敗と国民へのお詫び」(『週刊朝日』2007年2月16日号)で、以下のように書いている。 <私自身がモスクワ勤務時代に飯村豊氏(現フランス大使(注・当時))、原田親仁氏(現欧州局長(注・当時))などの指示に従いマスコミ関係者を篭絡するために偽造領収書を作成したり、国会議員の弱みを握るためにいかがわしい接待をしたことがある。> 北原としては、佐藤の行為(と報じられているもの)は問題ない、ということであろうか。日本のフェミニズムとは一体何なのか、というかねてからの疑問(軽蔑)がいっそう強まった。 また、山田氏は、M君リンチ事件に関する北原の発言の「軽率さ」を批判しているが、北原のM君リンチ事件への関与は「軽率さ」といった程度ではなく、より積極的なものであろう。北原は、辛淑玉の文書「2014年末に起きた傷害事件とその後のネットの騒ぎについて」(これについては田所敏夫「辛淑玉さんへの決別状」 が必読である)に関して、以下のように発言しているからである。 <当事者ではない人たちが、見たいように物語りを語り、「正義」を誰かを糾弾するための道具であるかのように使いたがる。そんな状況にうんざり。辛さんの言葉が、”あの人たち”に届くかどうか甚だ疑問だけれど、これは最も誠実な声。> さて、山田氏は最後に、北原について、<佐藤優を称賛したことを反省し、M君リンチ事件に関して知っていることを公にすべきだ。>と書いている。山田氏は、北原が「反省」をすることが可能であるかのように書いている。しかし、北原と佐藤の結託は、より広い文脈で捉えた方がよいのではないか。 北原は、どういうわけか、近年「慰安婦」問題について発言するようになっている。「慰安婦問題に取り組む「基金」」として2017年6月に設立された、一般社団法人「希望のたね基金」の理事にもなっている。 北原は自身のフェイスブックで、佐藤優との対談本を紹介しているが、その本に対して、「希望のたね基金」の代表理事の梁澄子やその他の理事は、「いいね!」を送っている(2017年12月5日閲覧)。 そして、梁らは、佐藤と親しい東郷和彦や和田春樹と非常に近いのである。 つまり、東郷や鈴木宗男らの政治勢力を通じて「和解」の道を実現しようという梁らの利害、その界隈で今後やっていきたい北原の利害、自分をソフトに見せたい佐藤の利害、佐藤をソフトに見せたい編集者の利害等が合致してできたのがこの対談本だと思われるのである。 鄭栄桓氏の「「愚かな約束」を前提にすべきではない――日本軍「慰安婦」問題解決全国行動声明に寄せて」では、2015年末の「慰安婦」外相合意を前提・出発点とする立場を示した「日本軍「慰安婦」問題解決全国行動」の主張が、詳細に批判されているが、この団体の当時の共同代表二人のうち、一人が梁澄子である。その後、梁らはこの立場を表に出さず、外相合意批判をやっているようだが、一旦は受け入れた事実は消えない。外相合意直後に、韓国の挺対協の代表(当時)がフェイスブックで、同志のはずの日本の「慰安婦」支援団体の人間から外相合意を受け入れるよう説得があり困惑した、ということを書いていたが、それが梁個人ではないとしても、日本の支援団体の役割というのはそういうものなのだろう。外相合意の内容は、事前に一部の支援団体に見せて非公式に協議し、落としどころも決められたうえで、公表されたのだろう、と私は見ている。 このように見てくると、北原と佐藤の対談本刊行は、そもそも憂慮されるべきことなのか、という疑問も持たざるを得ないのである。もちろん佐藤をソフトに見せるという意味では問題であるが、北原の関わっている「慰安婦」関係の運動の本質・政治的性格を非常に分かりやすく表現してくれているからである。 歴史的事実としての「慰安婦」問題は永久に記憶されるべきものである。ところが、(一部の?)支援団体は、180度逆に、「慰安婦」問題を「最終的かつ不可逆的」に終わらせるために運動を行っているのであって、もはや運動が自己目的化しており、当初の目的からかけ離れたものになってしまっている。繰り返しになるが、北原個人が問題、ということではなく、上のフェイスブックの記事で佐藤との提携に誰も疑問を呈していないことが示唆しているように、日本のあの界隈(の主流?)自体が最早まともではないのである。その意味では、日本側の「反省」の可能性のなさとも相まって、政治問題としての「慰安婦」問題というのは、すでに終わっているのであって、あとは、日本以外の諸国が、「慰安婦」制度をホロコースト等と同じく永久に記憶されるべき「人道に対する罪」として記憶し、学習するだけである(日本政府への要求は続けるとしても)。 現在の天皇の退位後の訪韓を契機に、「慰安婦」問題も「解決」に向けた進展が図られるのだろうが、酷い茶番劇以外の結末はないだろう。なお、外相合意と文在寅大統領に関しては、最近、在日朝鮮人によって立ち上げられたらしいブログ「先天無極派」が鋭い記事を書いているので、一読を勧める。 ついでに書いておくと、「希望のたね」基金の理事には岡本有佳という人もいるが、この人はそもそも季刊『前夜』の編集長だった人物である。季刊『前夜』とは何だったのかという問題も、改めて考えさせられる。
by kollwitz2000
| 2018-02-05 00:00
| 佐藤優・<佐藤優現象>
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