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2006年 12月 10日
2005年の衆議院選挙で自民党が大勝したのは、メディアに踊らされた若者と女性のせいだという見方がある。彼ら・彼女らは、メディアの流す善悪の図式をそのまま信じ、実際には自分に不利になるのに愚かにも新自由主義改革を支持したのだ、と。
こうした見方には、渡辺治の根本的な批判がある。衆院選は、自民党が、「構造改革」に期待する大企業ホワイトカラー上層を民主党から根こそぎ奪い返したからああいう結果になったのであり、「メディア政治」の結果にするのは間違いであると(渡辺治『構造改革政治の時代――小泉政権論』花伝社、2005年)。渡辺の論文は強い説得力を持つし、私も基本的には説得されているのだが、ただ、小選挙区制のトリックはあれ、大量の若者と女性が自民党に投票したことがなければ、あれだけの自民党大勝はなかなか説明できないのではないか。 ただ、私は「若者と女性がメディアに騙された」とは考えない。むしろ、彼ら・彼女らにとって、自民党に投票したのは合理的な政治行動だと思う。若者と女性の共通項は、「無知でメディアの影響を受けやすい」ではない。彼ら・彼女らの企業社会や会社での位置が、周辺的な点にある。 以前私はとある中小企業に勤めていた。大会社の仕事からの外注を受ける仕事であるが、大会社社員からは、自分たちの仕事を取る連中と思われていたようだ(実際そうなのだが)。私や同僚たちの認識では、その大会社の社員は「仕事もできないのに組合に守られた正社員という特権集団」であり、社会の公益のためにも全員リストラされた方がいい、といった声も同僚との飲み会ではよく上がった。 「郵政民営化が切り捨てる層」が象徴していたのは、「組合に守られた「使えない」正社員、中高年ホワイトカラー」である。そして、そうした人々が切り捨てられるのは、多くの中小企業の正社員、非正規雇用の若者にとってはメリットがある。端的に言って、雇用機会が増えるからだ。若い世代の雇用の状況がひどく、「上層」に上がる道が極めて狭いため、中高年正社員がリストラされて雇用機会が生まれる方が、「上層」にはい上がったり労働組合を組織して賃金・所得を上げたりするよりも、はるかに現実的なのである。 女性についても、世代を問わず、パートや派遣労働、正社員でも低い地位など、企業社会で周辺的な地位にある。いまや専業主婦は少数派なのだから、「ワイドショーの影響」といった解釈ではなく(ましてや「政治家の男性としての魅力」といったそれ自体女性差別的な解釈ではなく)、女性の政治行動は、企業社会との関係から考えたほうがよいと思う。彼女らの場合、雇用の機会だけではなく、企業社会のホワイトカラー男性の浅ましさをより強く認識しているだろう。特に、桐野夏生言うところの「見えざる階層」(でしたっけ)、パート労働者がそうだと思う。 要するに、彼ら・彼女らにとっては、負担増はあっても、今よりも雇用機会の増える社会の方が、格差構造が固定化して「上層」への道が閉ざされている状況の中では、生活水準の漠然とした予感からメリットがあると映ったのではないか。そして、その判断はあながち間違っていないと思われる。彼ら・彼女らか企業社会で実際に直面する、ホワイトカラー層の振る舞いへの反発も強かっただろう。いずれにせよ、メディアの虚像に踊らされたのではあるまい。 衆院選の自民党大勝を「メディア政治」のせいにしたまま、若者や女性の社会的要求に応じるよう対抗勢力が努力しない限り、若者や女性は上記の論理に取り込まれるだろう。
by kollwitz2000
| 2006-12-10 01:40
| 日本社会
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