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2008年 08月 04日
昨日のプロ野球の阪神対横浜戦(横浜スタジアム)は、19対2というスコアで横浜が記録的な大敗を喫した。私は横浜ファンではないのだが、この日、たまたまライトスタンドの横浜応援席にいた。序盤から阪神に点を取られっぱなしで、あまりに救いようのない展開に、ライトスタンド(ただしバックスタンド近くは阪神の応援席と化していた)からは、7回あたりから多くの客が帰っていった。悲愴な空気に取り巻かれた横浜ファンには同情を禁じえなかった。
ライトスタンドのあちこちから聞こえてきたのは「村田がいないとどうにもならない」という声である。村田修一は、横浜の4番打者であり、8月3日現在で、巨人のラミレスと並んで本塁打数でリーグトップ(30本)である。打率も3割1分を記録している。その村田は、北京オリンピックへの出場のため不在なのである。ただでさえ最下位を独走するチームで、主砲すらいないのだから、これでは勝てるはずがないではないか、という声だ。 ところで、私が興味深く思ったのは、私の周りにいた熱狂的な若い横浜ファンたちですら、村田が北京オリンピックに連れて行かれたという事態について、所与の、当然のものとして受け容れていたことである。「星野ジャパン」が、チーム状態も考えずに、主力選手を持っていくのは当然、という<空気>だ。 こうした<空気>は、メディアでの「星野ジャパン」でも当たり前のものとなっている。だが、これは、指摘するのも億劫になるほど自明な事実だが、「国益」中心主義の論理であり、「有事」における政府への住民の協力を義務付ける「有事法制」の論理であり、「徴兵制」の論理である。これが、「オリンピックのためであって、「国益」のためではない」という主張は成り立たない。「国益」のためでなかったとすれば、ヤクルトがチームの都合で林昌勇の韓国代表入りを拒否したことはメディアで叩かれるはずだが、全然叩かれていないのだから。これは「国益」のためであって、単に「オリンピック」や「公共性」のためではない。 実際に、石原慎太郎東京都知事の親友たる、星野仙一・日本代表監督は、日本代表チーム編成に際して、「日本も徴兵制を作ってくれ、といいたくなる」と発言している(「神戸新聞」2007年2月10日付らしいのだが、元の記事は削除されているようである)。星野は、「星野ジャパン」に関する現在のメディアの<空気>にはご満悦であろう。実際に徴兵制が政策オプションとして想定されているかどうかはさておき、こうした「「国益」が最優先」という価値観が蔓延することが重要である。 こうした報道は変なのであって、1年前は、上記の記事で星野が自覚しているように、好きなように選手をかき集めるのは難しいと認識されていたわけである。星野は、呆れるほど長かった日本代表選出に関する報道を通じて、ファンやマスコミの異論を気にしつつ、「「国益」のためには異論を唱えるべきでない」という<空気>がマスコミや「世論」において醸成されつつあることを少しずつ嗅ぎわけながら、自らの意志を貫徹したように私には見える。 「日の丸」「君が代」は、オリンピックやワールドカップによって、日本国民(特に若い層)に社会的に定着した。以前書いたように、論壇での日の丸・君が代問題は、恐らくこうした社会的定着を受けて、「大日本帝国との連続性」の問題としてではなく、「思想・良心の自由」の問題として提起されるようになっている。 「「星野ジャパン」による主力選手の連行に異議を唱えるファンは非国民」とでも言い出しかねない、現在のメディアの<空気>は、「国益」の論理の社会的浸透のための、重要な一里塚であると思われる。今後、こうした「国」が最優先なのは当たり前であり、「国」に貢献するのは「名誉」だ、という<空気>は、それに違和感を唱えるということ事態がありえない自明な<空気>として、スポーツだけではなく、メディア報道の前提枠組みとなっていくだろう。 今回の記事は、誰でも感じているだろうから書くまでもないと思っていたのだが、ウェブ上で「オリンピック 野球 徴兵制」と検索しても、どういうわけかほとんどこんな意見は出てこないから、一応記しておく。メディアでは、管見の範囲では、『金曜日』2008年8月1日号の投書「五輪野球、商業主義の弊害」が、「星野ジャパン」のやり方と徴兵制の近似性について指摘した、唯一のものである。
by kollwitz2000
| 2008-08-04 00:00
| 日本社会
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