鶴見俊輔・加々美光行編『無根のナショナリズムを超えて――竹内好を再考する』(日本評論社、2007年7月)を読んでいたら、いい言葉に出会ったので、メモしておこう(この本自体は大して薦めないが)。鶴見俊輔の発言である。
「私がメキシコに住んでる時に、同僚に台湾出身の人がいて中国語を教えていた。彼が私に言うにはね、彼の親父は中国大陸から国民党と一緒に台湾に移ってきた人なんだ。だから、日本占領下のいろんなことを知ってるわけですね。彼の息子に対しての遺訓はね、「日本の知識人というのは、日本国家の方針が変われば全部それと一緒になって変わるから、決して信用するな。どんなに人が良くても、知識は非常に豊富であっても、決して心を許すな」。それが親父の遺訓なんだ。私はそれを聞いてね、なるほどと思いましたよ。というのは、私の日本の知識人に対する見方と同じだから。我が意を得たりと思ったね(笑)。それが私の転向研究の底にあるものなんですよ。」
鶴見の転向研究の実際はさておき、この「遺訓」は、心に留めておきたい。